【前半】スポーツを頑張る子どもを襲う「オスグッド病」とは?
こんにちは!
今日は、スポーツを頑張る小中学生に多い オスグッド・シュラッター病(以下オスグッド病)についてお話しします。
余談ですがこの病気の名前、アメリカの整形外科医オスグッド氏と、スイスの外科医シュラッター氏が学会で報告したことが由来なんです。なんだか洋画のバディものに出てきそうな名前ですよね(笑)。
でも冗談抜きで、オスグッド病は運動を一生懸命やっている子どもにとっては深刻な問題です。
僕の臨床でも「サッカーで膝が痛い」「バスケの練習でしゃがむと痛む」「走ったあとにお皿の下がズキーンとくる」など、本当に相談が多いんですよ。
オスグッド病はなぜ子どもに多い?
オスグッド病の正体を一言で言うと、太ももの筋肉(大腿四頭筋)が膝下の骨を強く引っ張って炎症を起こす病気 です。
膝の前にある「脛骨粗面」という場所(お皿の下あたり)が、大腿四頭筋に引っ張られて炎症を起こす。ひどいときは 剥離骨折 になってしまうこともあります。
ではなぜ大人ではなく、子どもに多いのか?
それは 骨がまだ完成していないから なんです。
子どもの骨には「骨端線(こったんせん)」という成長のためのスキマがあります。ここが伸びることで身長が伸びていくわけですが、裏を返せば 弱い部分 でもある。そこに強い牽引力が加わると、炎症や剥離が起きやすいんですね。

さらに僕の臨床経験上、オスグッド病になりやすい子どもには共通点があります。
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ストレッチ不足
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足首が硬い
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土踏まず(アーチ)が少ない
この3つです。
ストレッチ不足は最大のリスク
「練習前後にストレッチやってる?」と聞くと、
「ちょっとはやってます」「形だけです(笑)」なんて答える子が大半。
でも、これは本当に大問題です!
オスグッド病を含め、成長期のスポーツ障害の多くは ストレッチ不足が原因。
僕は患者さんや保護者の方にいつも言います。
「スポーツは練習だけじゃなくてケアまでが練習なんですよ」と。
練習して筋肉を酷使したまま放置すると、どんどん固くなり、膝や腰に余計な負担をかけます。
痛みが出てしまえば練習はおろか、試合にも出られなくなる。せっかく積み上げてきた努力が一瞬で崩れるのは、本当にもったいないですよね。
特に重要なのは 動的ストレッチと静的ストレッチの使い分け。
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練習前 → 動的ストレッチ(ラジオ体操やジャンプなど体を温めながら行う)
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練習後 → 静的ストレッチ(じっくり伸ばすタイプのストレッチ)
これを徹底できているかどうかで、怪我の発生率は大きく変わります。
足首の硬さが引き起こすトラブル
次に多いのが 足首の硬さ。
最近の子どもは「ヤンキー座り(しゃがみ込み)」ができない子が増えています。しゃがむと後ろにバタンと倒れてしまう。
これは 足首の背屈(つま先を上に上げる動き)が制限されている証拠 です。
足首が硬いとどうなるか?
体はバランスを取ろうとして他の部位で代償します。
例えば、
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足首が曲がらない → 膝に負担
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膝が動かない → 股関節や腰に負担
こんなふうに「ドミノ倒し」のように負担が広がっていくんです。
この代償の結果として、オスグッド病が発症するケースは本当に多いです。
見落とされがちな「過回内(かかいない)」問題
さらに僕が臨床で強く感じるのが 足の形の問題。
特に「過回内(かかいない)」と呼ばれる状態、つまり 土踏まずの低下=偏平足気味の足 がオスグッド病に直結することです。

過回内があると膝が内側に入りやすく、結果として膝下に余計な負担がかかります。
実際、日本人はこの過回内が非常に多いと言われています。
僕は患者さんの足を後ろから写真に撮ってチェックするのですが、
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正常な足 → まっすぐ立っている
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過回内の足 → 内側にグニャッと倒れている
こうして並べてみると一目瞭然です。
ただ残念ながら、こういうチェックをしている治療院はほとんどありません。
だから、マッサージや電気治療をして「楽になった!」と思っても、すぐに元に戻ってしまうんです。
原因である過回内を改善しない限り、再発を繰り返すわけですね。
ここまでのまとめ
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オスグッド病は 子どもの骨の未熟さ+筋肉や足の状態 が重なって発症する
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ストレッチ不足は大きなリスク
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足首の硬さが代償を生み、膝に余計な負担をかける
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過回内(偏平足気味の足)は見落とされがちな大きな原因
【後半】オスグッド病を改善するためのセルフケアと治療の考え方
さて、前半ではオスグッド病が起こる理由を
「骨の未熟さ+ストレッチ不足+足首の硬さ+過回内」
とお話しました。
ここからは 具体的なセルフケアの方法、そして「それでも治らないときの解決策」について解説していきます。
自宅でできるストレッチはこれだ!
まずお伝えしたいのは、「ストレッチは絶対に裏切らない」ということ。
筋肉は毎日やれば必ず柔らかくなります。問題は「やり方」と「継続」なんですよね。
オスグッド病に効果的なのは、以下の 5つのストレッチ+脂肪体リリース。
①ヒラメ筋ストレッチ
ふくらはぎの奥にある筋肉です。
壁に手をつき、膝を軽く曲げながらアキレス腱を伸ばすようにします。地味ですが超大事。

②腓腹筋ストレッチ
同じくふくらはぎの筋肉ですが、今度は膝を伸ばしたままアキレス腱を伸ばすポーズ。
運動後は必ず入れてほしい王道ストレッチです。

③長母指屈筋ストレッチ
親指を動かす筋肉。
床に座り、足の親指を反らせながら伸ばします。サッカーやバスケで痛みが出やすい子は特に重要。

④ハムストリングス
太ももの裏。
膝を軽く曲げた状態から前屈してもOK。少しずつ膝を伸ばして負荷を増やしていきます。

⑤大腿四頭筋
太ももの前。
片足を後ろに引いて足首を持ち、膝を曲げて伸ばします。まさにオスグッド病の原因筋なので必須。

プラスα:「脂肪体リリース」でさらに効果倍増
「脂肪体?なんじゃそりゃ?」って思った方もいるかもしれません。
アキレス腱の両横にムニュっとした柔らかい部分があるんですが、そこにあるのが 脂肪体。

これは筋肉と腱の摩擦を防ぐためのクッションで、血管も多く通っているので硬くなりやすいんです。
ここを骨に押し当てるように1分ほどマッサージしてあげると、膝や足首の動きがスムーズになってストレッチ効果もアップ!
ストレッチは「痛みがない範囲」で!
ここで大事な注意点。
ストレッチは 痛みがない範囲で30秒 が基本です。
「痛いけど無理やり伸ばした方が効くんじゃないの?」と考える子がいますが、それは逆効果。
炎症を悪化させたり、筋肉を余計に硬くしてしまうリスクがあるので要注意です。
「ちゃんとやってるのに治らない…」そんな時は?
ここからが本題。
「毎日ストレッチして、柔らかくなってきたのに膝がまだ痛い!」という子、結構多いです。
そういう場合は 足の形(過回内) を疑ってください。
土踏まずが潰れている偏平足タイプの子は、どれだけ筋肉を柔らかくしても、膝や股関節に余計な負担が残り続けます。
結果、いつまで経ってもオスグッド病が完治しない。
僕の臨床でも「ストレッチ頑張ってるのに良くならない子」のほとんどが、過回内でした。
インソールという最終兵器
ここで登場するのが 医療用インソール(フォームソティックス・メディカル)。
普通の市販インソールではなく、医療従事者が足を評価して処方するタイプです。
これが本当にすごい。
今までどんな治療をしても改善しなかったオスグッド病の子が、これを使った途端にウソみたいに痛みが消えることがよくあります。
なぜか?
それは 足元から全身のアライメント(骨格のバランス)を整えるから。
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土踏まずが潰れて膝が内に入る
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股関節や腰に代償が起こる
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結果、膝下に大きな負担がかかる
この流れを根本から断ち切れるのが、医療用インソールなんです。
こんな子は要チェック!
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ストレッチを毎日してるのに膝の痛みが続く
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立った時に土踏まずがほとんどない
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靴の内側ばかりすり減る
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しゃがみ込み(ヤンキー座り)ができない
もしお子さんがこれに当てはまるなら、インソールを試す価値は大アリです。
僕の臨床でのエピソード
例えばサッカー部の中学2年生の男の子。
半年以上オスグッド病に悩まされて、整形外科や治療院を転々としていました。
湿布を貼る
電気治療を受ける
マッサージをする
いろいろ試したけど全然ダメ。
でも足を見たら典型的な過回内タイプ。
フォームソティックスを導入してもらったら、1週間後には膝の痛みがほぼゼロになりました。
本人も「え、マジで?今まで何やったん…」と驚き、保護者の方も涙目で喜んでいました。
まとめ
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オスグッド病は成長期の子どもに多い膝の痛み
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ストレッチ不足、足首の硬さ、過回内が主な原因
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自宅では「5つのストレッチ+脂肪体リリース」が必須
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それでも改善しないなら「足の形(過回内)」をチェック
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最終兵器は医療用インソール(フォームソティックス・メディカル)
オスグッド病は「成長期だから仕方ない」と片付けられがちですが、正しくケアすれば必ず改善します。
大事なのは 「練習も大事だけど、体のケアはもっと大事」 という考え方を子ども本人と指導者が共有すること。
僕自身も多くの患者さんを診てきて、「もっと早く正しいケアをしていたら、こんなに長引かなかったのに…」と思うケースをたくさん見てきました。
だからこそ、このブログを読んでくださっている保護者の方やコーチの方には、ぜひ今日から行動してほしいんです。
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練習前は動的ストレッチ
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練習後は静的ストレッチ
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足首の柔軟性をチェック
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土踏まずの状態を確認
これだけでも未来は大きく変わりますよ!
📣 最後にもう一度だけ。
「どんなにストレッチしても治らない!」という場合は、インソールを思い出してください。
足元から体を支える医療用インソールは、まさにオスグッド病に悩む子どもの救世主です。
練習も大事ですが、ケアはもっと大事。
頑張る子どもの未来を守るために、正しい知識と正しい手段を一緒に選んでいきましょう!


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