中学1年女子・左右シンスプリント “陸上を始めて3ヶ月、痛みが消えない…” 走りたいのに走れない
こんにちは。越田です。
今日は、僕が担当した 中学1年生の女の子のシンスプリント の症例を、できるだけ分かりやすく、そして同じ悩みで苦しんでいる子や保護者さんに届くように書いていきます。
「中1で左右シンスプリントって早すぎへん?」
「成長期やから仕方ない?」
「痛いって言っても、どこまで本気で対処したらいいのか分からない」
こういう保護者さん、めっちゃ多いです。
でも、先に結論を言うと シンスプリントは“成長期だから仕方ない”では全くありません。
原因が明確にあり、対処を間違えなければ改善します。
そして今回の子も、良い変化がしっかり出ています。
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【来院のきっかけ】“初めは筋肉痛やと思った。でも全然治らん…”
今回の子は、中学に入り陸上部に入部したばかりの 中学1年の女子。
専門は 100m走とマラソン。
いわゆる「短距離と長距離どっちもやるタイプ」です。
最初の訴えはこんな感じでした。
「両足の内側がずっと痛い。特に100m走を全力で走ると痛みが強い」
「歩くだけでも痛い時がある」
「練習用シューズやとまだマシ。でも競技用スパイク×競技トラックやと痛みが跳ね上がる」
さらに話を聞くと、
「中学入ってから部活が急にハードになった」
「最初は筋肉痛やと思って無視してた」
「でも治らんどころか痛みが増えてきて怖くなってきた」
とのこと。
これは典型的な “成長期 × 急激な練習量アップ × 足の構造的負担” によるシンスプリントです。
【シンスプリントとは何か?】より正確に言うと“脛骨過労性骨膜炎”
シンスプリントという言葉は有名ですが、正確には
脛骨(すねの骨)の骨膜が炎症を起こして痛みが出る症状 です。
特に痛みが出るのは “すねの内側”。
押されると「痛っ!!」となる部分。
この炎症を引き起こす主原因は次の通りです。
シンスプリントとはこちら
【原因①】成長期で骨が伸びるスピードに筋肉が追いつかない
成長期の身体はめちゃくちゃ忙しいです。
骨がどんどん伸びるのに、筋肉や腱がそのスピードに追いつかない。
するとどうなるか?
➡ 筋肉(後脛骨筋など)が常に引っ張られ、骨膜を刺激し続ける
➡ 走るたびに骨膜が炎症する
これがまず1つ目の原因。
【原因②】“走り込み・筋トレ・固い路面” の三重苦
今回の子は、聞けば聞くほど
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コンクリート上での走り込みが多い
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筋力トレーニングをガッツリやっている
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練習量が一気に増えた
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スパイクでの練習も多い
という環境でした。
短距離とマラソンの両方をしている子は特に負荷が大きいです。
スパイクは衝撃を吸収しないため、脛骨にダイレクトに負担が来ます。
シンスプリントリスク要因はこちら
【原因③】足の使い方にも問題アリ(フォームではなく“構造”)
越田が触診して、最も気になったのがここです。
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足首の動きが硬い
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下肢の後面(ふくらはぎ側)がガチガチ
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シューズの中で足が潰れている
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アーチが弱く、足がうまく地面を捉えられていない
本来、地面からの衝撃は
足 → 足首 → ふくらはぎ → 膝 → 股関節 → 体幹
と逃がしていくものですが、今回の子は足と足首での吸収が弱く、
➡ 全部すねに集中していた
という状態。
そりゃ痛い。
これで痛くない方がおかしい。
むしろ、この状態で3ヶ月走れてた方がすごい。
【初回治療】痛みの出ている“内側ライン”を徹底ケア
まず初回に行ったのは次の3つです。
① 下腿内側への超音波治療
超音波は “深部の炎症” や “硬くなった筋膜” に直接アプローチできます。
シンスプリントは浅い痛みではなく、骨膜の深部に炎症があるので超音波は相性良し。
② 手技療法(後脛骨筋・ヒラメ筋・長趾屈筋など)
痛い部分だけ触っても意味がありません。
痛みの「元凶」は別の筋肉にあることが多い。
特に今回の子は
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ふくらはぎの深層
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足首を内側に支える筋肉
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足裏アーチの筋肉
がガチガチ。
ここを丁寧に緩めました。
③ 練習後のケアを指導
ストレッチではなく “ケア”。
成長期の子は やりすぎストレッチで悪化 するケースもあるため注意。
今回は
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走った後にするべきケア
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走る前にしてはいけないケア
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氷の使い方
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お風呂の入り方
など、実戦で使える内容を指導。
【シューズチェックとインソール処方】「何が変わったか分からんけど痛みは減った!」
翌週、練習シューズとスパイクを持ってきてもらいました。
履き癖を見ると、
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踵が内側に倒れやすい
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アーチが落ちている
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足指が全く使えていない
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硬い路面での衝撃に弱い
という典型的な “オーバープロネーション” に近い状態。
そこで、足に合わせた インソールを処方 しました。
装着して走った本人の感想はこうです。
「え、なんか分からんけど痛みは減ってる…!」
これ、シンスプリントの子あるあるです。
インソールは
“痛みを消す道具” ではなく
“負担を減らして治る環境を作る道具”。
本人は変化を説明できなくても身体は正直で、痛みが軽減します。
実際、
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日常生活の痛み:ほぼゼロ
-
走るとまだ少し痛む(特に競技トラック)
という状態にまで改善しました。
インソールの効果についてはこちら

インソールってそんなにいいの?
越田の正直な臨床感覚から話します
治療を続けながら、彼女の足の状態を毎週チェックしていて、ある瞬間に
「あ、この子は戻れるわ」
と確信したタイミングがありました。
それは、インソールを入れてから1週間後の歩行評価です。
患者さん本人は「よくわからん」と言ってましたが、歩き方が明らかに変化していた。
・踵のブレが減ってる
・足の指が地面を掴めてる
・足裏の着地がスムーズ
・下腿内側の筋肉の張りが軽い
これは、インソールが「効いてる足」と「効いてない足」の決定的な違いです。
シンスプリント患者の足は、ほとんどが“踵が内側に倒れる”オーバープロネーション。
これを止められるかどうかが勝負。
今回の彼女は、インソールがハマったことで、負担が下腿から足全体に分散され、回復スピードが一気に加速しました。
中学生女子にシンスプリントが多い3つの理由
現場で何百人も診てきた越田が断言します
実は、中学1〜2年の女子は シンスプリントになりやすい年代 No.1 です。
その理由は大きく3つ。
1. 骨がまだ完成していない
脛骨(スネの骨)はまだ柔らかく、成長線(骨端線)も残っています。
衝撃の蓄積に弱い=シンスプリントのリスクが跳ね上がる年代。
2. 急激に練習量が増える
小学生までは「遊び」が中心、
中学に入ると「部活で毎日」がいきなり始まる。
身体ができあがってない状態で毎日ジャンプ・ダッシュ・走りこみ。
そら痛くなるわ、という状況。
3. 走り方の癖が強い
中学生はまだフォーム指導が入る前の段階。
足の着地や足裏の使い方が不安定で、負担がスネに集中しやすい。
だからこそ、
「痛みを取る」
「足の構造を正す」
「走り方を修正する」
この3つをセットでやらないと絶対再発します。
越田が立てた“復帰プラン”と、その理由
治療と練習のバランスが勝負を決める
シンスプリントは「痛みが減ったらOK」ではありません。
完全に治したいなら、“復帰までの順番”がとても大事。
今回の彼女に立てたプランは以下です。
フェーズ1(初回〜2週間)
痛みの軽減と足の形の修正を最優先。
・超音波で深部の炎症を抑える
・手技で脛骨と筋肉の癒着を取る
・足裏のアーチを作る
・インソールで足の軸を安定させる
この段階で
「歩行の痛みゼロ」
「ジョグで少し痛む」
まで改善。
フェーズ2(2〜4週間)
ジョグ → ラン の移行を開始。
・走る負荷を段階的に上げる(100mを30%→50%→70%)
・ふくらはぎ・後脛骨筋の柔軟性アップ
・足趾(足指)トレーニングで蹴り出し強化
※この時期に無理をすると一発で逆戻りするので、慎重に管理。
フェーズ3(4〜6週間)
スピード練習・コーナー走復帰。
・直線走 → カーブ走へ
・スパイクでの軽い流し
・競技場トラックでの本番負荷チェック
彼女の場合、スパイクで痛みが出ていましたが、
インソール+治療の継続で痛みは大幅に軽減。
「まだちょっと違和感あるけど、前みたいなズキッとした痛みはなくなった」
と言っていました。
これは完全復帰への“最終段階”のサインです。
シンスプリントを繰り返す子の共通点
治療してもまた痛くなる子には理由がある
越田がこれまで診てきて、
「治ったのに、また痛くなる子」
には3つの共通点があります。
1. 練習後に何もしない
氷もストレッチも筋膜リリースもしないタイプ。
これが一番ダメ。
2. 足の指が永遠に使えない
浮き指のまま走ってる子は100%再発する。
3. 接地の仕方が悪い
“ドスン着地”で走る子は絶対に治らない。
足裏がうまく使えていないから。
今回の彼女は、
・ケアを毎日やった
・足の使い方を素直に直した
・インソールをちゃんと使った
この3つが本当に大きかった。
「治った」と言える基準
越田の中では以下の4つが揃ったら“復帰OK”
① 歩いて痛みゼロ
② ジョグ〜流しで痛みゼロ
③ スパイクで軽いダッシュができる
④ 練習翌日に痛みが戻らない
この4つが揃ったら、本当の意味で完治に近い。
足首・足裏の治療も同時に必要だった理由
彼女は下腿だけじゃなく、足関節にも問題があった
途中経過で気づいたのが、
足関節の固さと、下肢後面(ふくらはぎ全体)の張り。
シンスプリントの子は、
・足首が硬い
・ふくらはぎが常にパンパン
・足裏が使えていない
この3つがセットになっています。
だから、毎回の施術で
・足関節のモビリゼーション
・アキレス腱のリリース
・足裏の筋膜リリース
を追加。
これによって、
“走るたびに痛みがぶり返すループ”が完全に断ち切れました。
越田から中学生ランナーへのメッセージ
これは声を大にして言いたい
シンスプリントは、
“痛いけど走れる”
からこそ厄介な怪我です。
「このくらい大丈夫」
「そのうち治るやろ」
と思って放置すると、必ず長期化します。
今回の彼女は、
・練習量
・成長期
・足の構造
この3つが重なった“典型的な悪化パターン”でしたが、
正しい治療と指導でしっかり改善しました。
もし今、似た痛みで悩んでいる子がいたら、
早めに専門家に診てもらってほしい。
足の問題は、痛みだけでなく、
“走りのパフォーマンス全体”を落とします。
走るのが好きな子の未来を守るためにも、
一度しっかり身体を見させてください。越田でした!!

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