膝の痛みでテニスを諦めかけた女性が、インソールで再びコートに復活するまで

こんにちは。伊豆です。

今回は、膝の痛みによって大好きなテニスを続けることが難しくなりながらも、諦めずにコートへ戻った高橋さんの体験をご紹介します。

高橋さんは、単に運動不足を解消するためにテニスをしていたわけではありません。テニスは生活の一部であり、仲間とつながる大切な場所であり、自分らしさを感じられるかけがえのない時間でした。

だからこそ、膝の痛みで思うようにプレーできなくなったとき、高橋さんが失いかけたものは、運動する機会だけではなかったのです。

膝のけがや痛みは、スポーツだけでなく、歩行や階段昇降などの日常生活にも大きく影響することがあります。

出典:https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/knee-pain/symptoms-causes/syc-20350849

テニスが生きがいだった高橋さん

高橋さんは、長年テニスを続けてきた女性です。時間があればラケットを握り、平日は練習、週末には試合にも出場していました。

「テニスをしているときが、一番自分らしくいられるんです」

そう話す表情からも、テニスに対する強い思いが伝わってきました。

しかし、高橋さんの右膝には、以前から大きな問題が残っていました。過去の交通事故で後十字靱帯を損傷し、手術を受けずに生活と競技を続けていたのです。

後十字靱帯は、大腿骨と脛骨をつなぎ、膝関節の安定に関係する組織です。損傷の程度によっては、痛みや腫れだけでなく、膝の不安定感が残ることがあります。

それでも高橋さんは、テニスをやめませんでした。「痛くても、まだ動けるから」「休んでいる間に下手になりたくないから」と、自分に言い聞かせながら練習を続けていたのです。

出典:https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/21793-pcl-posterior-cruciate-ligament-tears

試合が終わるたび、階段の前で立ち止まる

痛みは少しずつ、高橋さんの日常を奪っていきました。

練習中は夢中になっているため、ある程度は我慢できました。しかし、練習が終わって体が冷えてくると、膝の奥に重い痛みが現れます。試合で激しく動いた日の夜は、歩くだけでもつらくなりました。

特につらかったのが階段です。

以前なら何も考えずに上れていた階段の前で、一度立ち止まるようになりました。手すりにつかまり、痛みの少ない脚を先に出して、一段ずつゆっくり上る。わずかな段差でも、膝に力が入る瞬間が怖くなっていました。

翌朝になっても重だるさが残り、ベッドから立ち上がった瞬間に顔をしかめることもありました。それでも数日たって痛みが少し引くと、またコートへ向かってしまいます。

「休んだほうがいいのは分かっている。でも、テニスを休むほうがつらかったんです」

高橋さんは、当時の気持ちをそう振り返ります。階段昇降で膝痛が強くなる症状は、さまざまな膝の問題でみられるため、原因を決めつけず評価することが重要です。

出典:https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/patellofemoral-pain-syndrome/symptoms-causes/syc-20350792

真面目に努力しても、変わらなかった現実

高橋さんは、決して何もせずに痛みを放置していたわけではありません。

膝を良くしたい一心でリハビリにも通い、体幹トレーニングや臀部の筋力トレーニングを真面目に続けていました。自宅で行うように指導された運動も、ほとんど欠かしませんでした。

「これだけ頑張れば、いつか痛みはなくなる」

そう信じていましたが、数か月たっても、テニス後の痛みは思うように変わりませんでした。

努力しているのに結果が出ない。昨日より良くなることを期待して運動を続けても、試合後にはまた同じ痛みが戻ってくる。その繰り返しによって、高橋さんの気持ちは少しずつ削られていきました。

筋力訓練やリハビリテーションは膝の機能改善に用いられますが、症状や損傷の状態は一人ひとり異なります。運動内容だけでなく、競技量や動作、膝の安定性などを含めた個別評価が欠かせません。

出典:https://www.uhn.ca/Surgery/Orthopedic_Surgery/Knee_ACL_Repair

「もう試合には出られないかもしれない」

高橋さんが最も苦しんだのは、痛みそのものだけではありませんでした。

以前なら迷わず追いかけていたボールを前にして、「ここで踏み込んだら、また痛むかもしれない」と、一瞬ためらうようになったのです。

相手が打ったボールに反応しても、最後の一歩が出ない。急に方向を変えるのが怖い。膝をかばうために動きが小さくなり、これまで取れていたボールに届かなくなりました。

試合で負けたこと以上に、自分が思い切って動けなくなったことが悔しかったそうです。

帰宅後、一人になると、「このまま悪化したらどうしよう」「もう以前のようには動けないのではないか」と考えるようになりました。テニス仲間から心配されても、笑ってごまかしていましたが、内心では引退という言葉まで浮かんでいたといいます。

スポーツ障害は、競技動作だけでなく、競技を続ける自信や生活の質にも影響します。UHNのスポーツ医学部門でも、膝を含む幅広いスポーツ外傷を評価・治療の対象としています。

出典:https://www.uhn.ca/Arthritis/Clinics/Sports_Med_Service

膝が突然動かない――恐怖を感じた瞬間

そしてある日の練習中、高橋さんの不安は現実のものになります。

ボールを追って踏み込んだ瞬間、膝に引っかかるような感覚があり、そのまま膝を伸ばすことができなくなったのです。

「動かそうとしても、何かが挟まったように動かなかった」

ほんの短い時間でしたが、高橋さんには非常に長く感じられました。膝が固まり、次の一歩を出せない。無理に動かせば壊れてしまうのではないかという恐怖で、その場から動けなくなりました。

しばらくすると膝は動くようになりましたが、その日を境に、コートに立つこと自体が怖くなりました。また突然動かなくなるかもしれない。転倒して、さらに大きなけがをするかもしれない。大好きだったテニスが、いつしか恐怖を感じる時間に変わり始めていたのです。

膝のロッキングや引っかかり、膝崩れなどは、半月板や靱帯を含む膝関節内部の問題でみられることがあります。原因は一つとは限らないため、症状が続く場合は医療機関での評価が必要です。

出典:https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/torn-meniscus/symptoms-causes/syc-20354818

「もう限界です」――高橋さんが当院を訪れた日

痛みを抱えながらも、「まだできる」と自分を奮い立たせてきた高橋さん。しかし、ロッキングを経験してからは、以前のように気持ちだけで乗り越えることができなくなりました。

好きだから続けたい。でも、続ければさらに悪くなるかもしれない。

休まなければならないと分かっていても、テニスから離れた自分を想像できない。

その間で何度も気持ちが揺れた末、高橋さんは当院を訪れました。

初めてお会いしたとき、高橋さんは明るく話そうとしていました。しかし、これまでの経過を聞いていくうちに、表情が次第に曇っていきました。

そして、小さな声でこう言われました。

「先生、もう限界かもしれません。でも、できることならテニスを諦めたくありません」

膝が動かない、体重をかけられない、強い痛みや急な腫れがある場合には、緊急性を含めた医療的な判断が必要です。当院でも対応範囲を見極め、必要な場合は整形外科などの医療機関への受診を案内することが重要だと考えています。

出典:https://www.mayoclinic.org/symptoms/knee-pain/basics/when-to-see-doctor/sym-20050688

高橋さんの目標は、単にその場の痛みを軽くすることではありませんでした。

もう一度、痛みにおびえずボールを追いたい。試合中に膝のことを考えず、最後まで思い切って走りたい。そして、仲間と笑いながらテニスを楽しみたい。

その願いを実現するため、私たちは膝だけを見るのではなく、立ち方、歩き方、足部の状態、靴との相性、テニス中の動作まで含めて確認していくことにしました。

膝だけではなく、「足元」から確認する

高橋さんの膝には、交通事故で損傷した後十字靱帯の問題が残っていました。そのため、施術によって膝周囲の筋肉を緩めるだけで、靱帯そのものが元の状態に戻るわけではありません。

施術後には「膝が軽くなった」「動かしやすい」と感じられても、激しい練習を繰り返せば、再び膝へ負担が集中する可能性があります。

そこで私たちは、痛みが出ている膝だけではなく、高橋さんの立ち方、歩き方、足のアーチ、靴の状態なども確認しました。

足を評価すると、立ったときに土踏まずが低下し、足部が内側へ倒れ込みやすい傾向がみられました。歩行時にも足元が安定しにくく、その上にある膝が内側へ入りやすい動きが確認できました。

足部の過回内とは、歩行や走行の際に足が必要以上に内側へ倒れ込む状態を指します。ただし、過回内があるから必ず膝痛になるわけではなく、膝の痛みには損傷歴、筋力、競技量、動作など複数の要素が関係します。

高橋さんの場合も、「膝痛の原因はすべて足にある」と決めつけるのではなく、膝に加わる負担を減らすために改善できる要素の一つとして、足元を見直すことにしました。

出典:https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/22474-overpronation

インソールに対する不信感

そこでご提案したのが、靴の中に入れて足部を支えるインソールでした。

しかし、高橋さんは最初から前向きだったわけではありません。

「インソールなら、以前にも使ったことがあります。でも、硬くて足が痛くなったんです」

過去にスポーツ店で購入したインソールが足に合わず、かえって足裏に痛みを感じた経験があったためです。そのときの印象から、「靴の中敷きを替えただけで何が変わるのだろう」と半信半疑でした。

これは無理もありません。インソールには、クッション性を補うもの、土踏まずを支えるもの、足の動きを補助するものなど、さまざまな種類があります。また、同じ製品でも、足の形、症状、使用する靴、競技特性によって合う人と合わない人がいます。

私たちは、インソールを入れれば必ず痛みがなくなるとは説明しませんでした。まずは足の状態と靴との相性を確認し、違和感や痛みが出た場合には使用時間や調整方法を見直すことが大切だとお伝えしました。

そのうえで高橋さんは、「何もしないままテニスを諦めるより、できることを試したい」と、フォームソティックス・メディカルを使用することを決められました。

出典:https://my.clevelandclinic.org/health/treatments/orthotics

最初に起きたのは、予想外の筋肉痛

インソールを使い始めて約1週間後、高橋さんは少し困ったような笑顔で来院されました。

「先生、太ももやふくらはぎが筋肉痛なんです。今までと違うところを使っている感じがします」

インソールによって足元の感覚や荷重の位置が変わると、それまでとは異なる筋肉を使ったように感じることがあります。ただし、筋肉痛が起きたからといって、必ず身体が正しく矯正されている、あるいは回復している証拠とは限りません。

強い痛みやしびれが出ていないか、足裏の一部分に圧力が集中していないか、膝の症状が悪化していないかを確認しながら、使用時間を少しずつ延ばしていただきました。

高橋さんにも、初日から長時間使うのではなく、日常生活で短時間使用し、身体を慣らしてから練習で試すようお願いしました。

足のアーチを支える装具やインソールは、足部の症状やアライメントを補助する目的で用いられることがありますが、足そのものの形を完全に治す道具ではありません。適切な靴、運動、活動量の調整などを組み合わせることが重要です。

出典:https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/flatfeet/diagnosis-treatment/drc-20372609

「練習後なのに、膝を気にしていない」

それから約2週間が経過した頃、高橋さんはこれまでとは違う明るい表情で来院されました。

「先生、昨日テニスをしたんです。でも、終わったあとに、いつものような膝の痛みをほとんど感じなかったんです」

高橋さん自身が、最初は変化に気づかなかったそうです。

いつもなら練習後、膝の状態を確かめながら恐る恐る歩きます。帰宅してからは湿布を貼り、翌日の痛みに備えるのが習慣になっていました。

ところが、その日は自宅の階段を上り終えたあとで、「そういえば、今日は膝をかばっていない」と気づいたといいます。

翌朝も、以前のような強い重だるさはありませんでした。

もちろん、短期間症状が軽かったからといって、靱帯損傷が治ったわけではありません。競技量やその日の体調によっても痛みは変化するため、慎重に経過を見る必要があります。

それでも高橋さんにとって、「テニスをしたあとには必ず激しく痛む」という長年の経験が変わったことは、大きな希望になりました。

靴に入れる装具は、症状や状態に応じて、歩行時の関節を支える方法の一つとして使われます。ただし、効果には個人差があり、適切な評価と選択が必要です。

出典:https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/21978-arthritis-of-the-knee

痛みへの恐怖で止まっていた「最後の一歩」

高橋さんに起きた変化は、膝の痛みだけではありませんでした。

以前は、遠いボールを追おうとしても、「踏み込んだ瞬間に膝が崩れるかもしれない」という恐怖がありました。そのため、無意識のうちに動きを小さくし、届きそうなボールでも途中で諦めることが増えていました。

しかし、足元への不安が少しずつ減るにつれて、最後の一歩を出せる場面が増えていきました。

「今までなら諦めていたボールに、自然に脚が出たんです」

高橋さんは、うれしそうに話してくれました。

それは単に走る速度が急激に上がったということではありません。痛みが出るのではないかという恐怖が和らぎ、プレー中に膝ばかりを意識しなくなったことが、高橋さんにとって何より大きな変化でした。

テニスをしているのに、頭の中では常に膝のことを考えている。そんな状態から、ようやく目の前のボールや相手の動きに集中できるようになったのです。

足や足首の問題に対しては、症状だけでなく、歩行や運動時の機能を評価し、保存的な方法を含めて個別に対応することが重要です。

出典:https://www.uhn.ca/Arthritis/Clinics/Foot_Ankle_Service

「もうテニスをやめるしかない」と思っていた女性が

数週間後、高橋さんは静かにこう話してくれました。

「もっと早く、足元まで見てもらえばよかったです」

リハビリを続けても思うような結果が出ず、試合では動けなくなり、ついには膝がロッキングする恐怖まで経験しました。

口では「まだ大丈夫」と笑いながらも、心の中では何度もテニスを諦めようとしていたそうです。

試合の予定表を見るのがつらくなった時期もありました。仲間から練習に誘われても、うれしい気持ちより先に、「また膝が痛くなったらどうしよう」という不安が浮かびました。

テニスを失うことは、長年築いてきた仲間との時間や、自分らしくいられる居場所まで失うことのように感じられたのです。

だからこそ、再びコートを走れたときの喜びは、簡単な言葉では表せません。

「以前は、痛みが出ないように恐る恐るプレーしていました。今は、ボールを追うことに集中できます。テニスって、こんなに楽しかったんですね」

高橋さんの言葉を聞いたとき、私たちも本当にうれしく思いました。

出典:https://www.uhn.ca/Arthritis/Clinics/Sports_Med_Service

現在も、元気にコートを走っています

現在、高橋さんはテニスを続けています。

以前のように、練習後に膝を押さえて階段の前で立ち止まることはほとんどなくなり、試合にもガンガン参加しています!

もちろん、過去に損傷した後十字靱帯がインソールによって再生したわけではありません。今後も膝の状態を確認し、無理な練習を避け、筋力や柔軟性を維持することが必要です。

インソールも、入れておくだけですべての問題を解決する魔法の道具ではありません。

しかし高橋さんにとっては、膝に加わる負担を見直し、安心して動くための大切な選択肢の一つになりました。

現在の高橋さんは、痛みへの恐怖でプレーを止めるのではなく、目の前のボールを夢中で追いかけています。

コートの端まで走り、思い切ってラケットを振り、ポイントが決まれば仲間と笑う。かつて「もうテニスをやめなければならないかもしれない」と悩んでいた頃からは、想像できない姿です。

試合を終えた高橋さんは、笑顔でこう話してくれました。

「このインソールは、今ではテニスをするときの大切な相棒です」

足部の状態や膝痛の原因は、人によって異なります。インソールが適しているかどうかも、足や靴、症状を評価したうえで判断する必要があります。

出典:https://www.massgeneral.org/orthopaedics/foot-ankle/conditions-and-treatments/flat-foot

皆様へのメッセージ

高橋さんのケースからお伝えしたいのは、「インソールを入れれば、どのような膝痛でも治る」ということではありません。

膝の痛みには、靱帯や半月板の損傷、変形、筋力低下、競技動作、足部の状態など、さまざまな要因が関係します。強い痛み、腫れ、ロッキング、膝崩れがある場合には、整形外科で画像検査などが必要になることもあります。

一方で、膝だけを見続けても変化が乏しい場合には、立ち方、歩き方、足のアーチ、靴の状態などに目を向けることも一つの方法です。

今、膝の痛みによって好きなスポーツを諦めかけている方も、「年齢だから仕方がない」「昔のけがだから、もう変わらない」と、すぐに可能性を閉じないでください。

身体の状態を正しく確認し、自分に合った対策を一つずつ積み重ねることで、再び好きなことを楽しめる可能性があります。

リード鍼灸整骨院では、膝の状態だけでなく、足部、歩行、使用している靴なども確認し、フォームソティックス・メディカルが適しているかを評価しています。

インソールを無理におすすめするのではなく、現在の症状や目的に合う方法を一緒に考えます。

もう一度、痛みを気にせず歩きたい。

もう一度、階段を不安なく上りたい。

そして、もう一度、大好きなスポーツを心から楽しみたい。

その思いを諦める前に、ぜひ一度ご相談ください。

高橋さんが取り戻したのは、単に膝の調子だけではありません。痛みの恐怖によって失いかけていた、コートを走る喜びと、テニスを心から楽しめる毎日だったのです。

出典:https://my.clevelandclinic.org/health/treatments/orthotics

 

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