あなたはどこから?顎関節症の知られざる4つのタイプ!

 

顎関節症の4つのタイプとは?症状の出方と原因をわかりやすく解説

前回の記事

知ってるだけで顎関節症が劇的に改善する!原因はまさかの○○?



前回は「顎関節症は“ひとつの原因”で起きる病気ではなく、いろんな因子が積み重なって発症する」という話をしました。

今日はその続きとして、発症の原因別に多い症状の出方と、臨床でも使われる顎関節症の4タイプ(Ⅰ〜Ⅳ型)を、できるだけやさしく、でも実戦的に解説します。

先に地図:

  • Ⅰ型=筋肉のトラブル(咀嚼筋痛)

  • Ⅱ型=関節そのものの捻挫・炎症(関節包・靭帯など)

  • Ⅲ型=関節円板のズレ(クリック音や開口制限)

  • Ⅳ型=関節の変形(長期化・難治化しやすい)

「自分はどれ?」が分かるだけで、やるべきケアの優先順位が見えてきます。では順番にいきましょう。


顎関節症は“多因子”で起こる(おさらい)

顎関節症は、ひとつの悪者をやっつければ万事解決!という病気ではありません。

  • 噛みしめ・食いしばり(TCH:上下歯の持続接触)

  • 歯ぎしり(睡眠時ブラキシズム)

  • 片噛み(片側だけで咀嚼)

  • 頬杖、うつ伏せ寝、うつ伏せ読書

  • 首・肩の筋緊張(PC・スマホ姿勢)

  • ストレス・不安(交感神経の亢進)

  • 過去の外傷・抜歯後の変化

  • かみ合わせ・歯列の個性

    こういった複数の要因が足し算で“しきい値”を超えると発症します。だからこそ、「タイプを知る → 自分の因子を減らす → 痛みの回路を落ち着かせる」という順番が効率的です。


Ⅰ型:咀嚼筋痛障害(筋肉が主役のタイプ)

キーワード:動かすと痛い/押すとコリコリする/朝起きたら顎〜こめかみが張っている

咀嚼筋(咬筋・側頭筋・内外側翼突筋)が過緊張し、運動時痛が主になるタイプ。安静時のジンジンした“自発痛だけ”ではⅠ型とは言いません。

  • こんな場面で増える:硬い物を食べる、長時間の会話、長いあくび、集中作業(食いしばり)

  • 触って確かめる

    • エラの角(下顎角)に指を当てて軽く噛みしめる→ボコッと膨らむのが咬筋。押すと“イタ気持ちいい”コリが出ることが多い。

    • こめかみを指の腹で押しながら噛みしめる→硬くなるのが側頭筋。頭痛様の鈍痛が誘発される人も。

  • リスク因子:TCH(軽く歯を触れ続ける癖)、長時間PC・スマホ姿勢、冷え・睡眠不足、歯列矯正直後の適応期など。

セルフケアの入口

  1. 安静空隙を作る:上下の歯を離し、舌先は上顎のスポット(上前歯のすぐ後ろ)に“ちょん”と当て、唇は閉じて力を抜く。

  2. ソフトマッサージ:咬筋・側頭筋を“縦方向”に15秒×2セット。強押しは厳禁(筋膜を怒らせて逆効果)。

  3. 熱→軽い開閉運動:ホットタオルで3〜5分温め、痛みの出ない範囲でゆっくり「あ・い・う」開閉。

  4. ストレス対策:深呼吸30秒、目を閉じて肩をストンと落とす“脱力リマインド”を1時間ごとに。

岡本メモ:「痛い=伸ばす」は落とし穴。筋が興奮している時はまず緩ませる → 痛くない範囲の可動。これが鉄則。


Ⅱ型:顎関節痛障害(関節包・靭帯をひねったタイプ)

キーワード:関節の一点がズキッ/奥歯で噛むと鋭い痛み/顎頭部の圧痛

関節包・外側靭帯・円板後部組織が、慢性の外力(片噛み、頬杖、うつ伏せ寝、過度のあくび)や、ある日の“ガクン”をきっかけに捻挫様の状態になったもの。

  • 症状の出方

    • 「朝、トーストを噛んだ瞬間に関節がズキッ」

    • 「口は開くけど、奥歯で“グッ”と噛むと関節が痛い」

    • 顎関節前方(耳の前)を一点押しで“クッ”と痛む圧痛。

  • やりがちな悪習慣

    • 片噛み(痛くない側ばかり使う→患側が休まらない悪循環)

    • 頬杖(関節を外から押し込む)

    • うつ伏せ寝(下顎をねじる)

    • 連続あくび(円板後部に牽引)

急性〜亜急性の対処

  1. 炎症か筋緊張か判定:じっとしてもズキズキ→炎症優位。動かすとだけ痛い&叩打で響かない→筋緊張寄り

  2. 炎症優位ならアイシング5〜10分→安静。痛い側で噛まない。大きな開口を避ける。

  3. 筋緊張寄りなら:ホットタオル3分→可動域内の“ゆっくり開閉”×10回。

  4. 習慣リセット:頬杖NG、スマホは目線の高さ、寝具の見直し(高すぎる枕=顎後退を誘発)。

岡本メモ:Ⅱ型は「関節の捻挫」。焦ってゴリゴリ揉むのは地雷。痛みが引くまでは“守る・温める・静かに動かす”が勝ち筋。


Ⅰ型とⅡ型は“行き来する”

筋が硬いままに無理をすると関節に負担が集中→Ⅱ型化



逆に、関節が痛いからと噛む量を極端に減らすと、咀嚼筋が過敏になってⅠ型様の痛みが増えることも。



つまりこの二つはシーソー関係。だからこそ、筋の鎮静と関節の保護を同時にやるのが実戦的です。


3つの“超・基本” ― ここまでの総仕上げ

  1. TCHをやめる:歯は触れない。舌は上顎。唇はふわっと。

    • 付箋に「脱力」「歯を離す」と書いて視界に10枚。見る→気づく→力を抜くの条件反射を育てる。

  2. 首・肩をゆるめる:首肩の筋膜は咀嚼筋と機能連動。1時間に1回、肩を後ろ回し×10。顎だけ攻めても限界がある。

  3. 睡眠・水分・血流:寝不足は痛覚過敏の最大トリガー。ぬるめの入浴10分+就寝前のスマホオフで自律神経を休める。


ここで一息:自分は本当にⅠ型?簡易セルフチェック

  • ガムを5分噛むと筋肉がじわっと痛む→Ⅰ型っぽい

  • 奥歯で“グッ”と噛むと関節が一点でズキッ→Ⅱ型っぽい

  • こめかみ〜エラを縦に優しくほぐすと軽くなる→Ⅰ型寄り

  • ホットタオル+小さな開閉で軽くなる→Ⅱ型寄りの“筋緊張混在”

※あくまで目安。痛みが鋭い/口が急に開かない/音が大きく増えた等は後述のⅢ・Ⅳ型の可能性もあるので、無理は禁物。


前半まとめ(次回へのブリッジ)

  • 顎関節症は多因子。タイプを知ると打つ手が見える。

  • Ⅰ型=咀嚼筋の過緊張による“動かすと痛い”タイプ。まず脱力やさしい温熱+縦マッサ

  • Ⅱ型=関節の“捻挫様”。アイシング or 温熱の見極めと、悪習慣の停止がカギ。

  • ⅠとⅡは行き来するので、筋と関節の“同時ケア”が効率的。

  • 次回(後半)は、いよいよ**Ⅲ型(関節円板の転位:クリック音/開口制限)**と、**Ⅳ型(変形性顎関節症:クレピタス音)**を、受診目安・セルフケアの限界線・長期戦の戦い方まで含めて深掘りします。

    顎関節症の4つのタイプを徹底解説

    Ⅲ型:顎関節円板障害(関節の“クッション”がずれるタイプ)

    そもそも「関節円板」とは?

    顎関節は、耳の前あたりにある下顎頭(関節頭)と側頭骨の関節窩の間に「関節円板」という軟骨のようなクッションが挟まっています。



  • この円板がスムーズに前後に動くことで、口の開閉がなめらかになるのです。

    しかし何らかの要因(歯ぎしり・外傷・噛み合わせの不均衡・首肩の緊張など)で、この円板が正常位置から前や横にずれると、顎関節症の第Ⅲ型が生まれます。


    Ⅲ型の2つのパターン

    • Ⅲa:復位性円板前方転位

       口を開ける時に「カクッ」と音が鳴る。これは、ずれていた円板が一瞬元に戻る瞬間に起きる音(クリック音)。

       → 特徴:音はあるけど、口は開く。痛みはないか、あっても軽度。

    • Ⅲb:非復位性円板前方転位

       円板が完全に前にずれ込んで、もう元の位置に戻らない。

       → 特徴:口が大きく開かない(指2本分程度)。音は消えるが、開口障害や強い痛みを伴う。


    臨床でよくあるエピソード

    「ある日突然、口が大きく開かなくなった」「でも音はしなくなった」なんて方、実はⅢb型の典型です。



    “音が消えたから治った”と思ってしまう患者さんも多いのですが、これは逆で、症状が進行したサインのことが多いんです。


    セルフケアと注意点

    • Ⅲa型(カクカク音あり、口は開く)

       ・痛みがなければ、日常生活で無理に治療しなくてもOK。

       ・ただし大きな開口や硬い食事は控える。音が頻発すると組織に摩耗が進む可能性あり。

    • Ⅲb型(音なし、開かない)

       ・セルフケアでの改善は難しい。歯科口腔外科での評価が必要。

       ・ホットパックで筋を緩め、無理にこじ開けないこと。無理なストレッチは悪化させます。

    岡本メモ:臨床的には「音が鳴る顎関節症」より「音が消えた顎関節症」の方が怖い。開口制限が出たら、迷わず専門医へ紹介します。


    Ⅳ型:変形性顎関節症(長期化して関節が変形するタイプ)

    どういう状態?

    Ⅲ型の円板転位が長期化したり、関節への負担が慢性的にかかることで、関節の骨や円板そのものが変形・摩耗してしまうタイプ。

    • 関節頭がすり減る

    • 円板が硬い組織に置き換わる(線維性癒着)

    • 関節面に穴が空く(穿孔)

    この段階になると、画像診断(CT/MRI)で異常が見える数少ない顎関節症です。


    症状の特徴

    • 「ゴリゴリ」「ギシギシ」という摩擦音(=クレピタス音)

    • 開口制限+慢性的な痛み

    • 咀嚼時の疲労感が強い

    • 症状の経過が長く、完治より進行抑制が目標になることが多い


    受診の目安

    • 口が指2本分以下しか開かない

    • ゴリゴリ音+痛みが続く

    • 食事がしにくい/噛めない

      → こういう場合は整形外科や口腔外科レベルでの精査が必須です。


    ケアの現実

    Ⅳ型はセルフケアだけで治すのは難しいです。ですが進行を止める/痛みを和らげることは十分可能です。

    • 物理療法:ホットパック、低周波、レーザー

    • 装具療法:スプリント(マウスピース)で関節への負担を分散

    • 生活指導:TCH是正、姿勢改善、ストレスコントロール

    岡本メモ:変形しても「痛みゼロ・日常生活OK」まで回復する人は多い。諦めずにコントロールしていく病態と捉えましょう。


    タイプ横断で意識すべきこと

    1.TCH(上下歯の接触)の是正は全タイプに有効

    どのタイプであれ、顎関節に負担をかけ続ける最大要因は**“歯を触れ続ける癖”**です。

    「歯は普段、触れてないのが正常」――この一点を忘れなければ、かなりの再発が防げます。


    2.首・肩の緊張は必ずチェック

    顎の筋肉と首肩の筋肉は筋膜でつながっています。

    特に僧帽筋・胸鎖乳突筋の硬さが強い人は、顎の負担も高い。顎の治療をしても治らない時は、まず肩こりを取りましょう。


    3.ストレス管理は侮れない

    歯ぎしり・食いしばりは無意識下のストレス発散行動でもあります。

    「最近仕事でキツイ」「寝ても疲れが取れない」そんな時は、まず生活リズムの見直しやリラクゼーションから入るのが最も効果的です。


何に気を付けるの?と思った人はこのブログも読み返してみてください!

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それでは!

 

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