限界は体力じゃない!?脳疲労とスポーツパフォーマンスの真実
体力の限界…本当にそこまで?
「クラブの練習や試合で、もうこれ以上動けない!」
「フルマラソンで、足が棒のようになって前に進めない!」
スポーツをしている人なら、誰もが一度は体験したことのある「体力の限界」。
私自身もフルマラソンを走ったとき、何度も「これ以上一歩も動けない」と感じました。あの、チビりそうなくらいのしんどさ。
だからこそ「限界=体力が底を尽きた」と思い込みがちです。
でも実は驚くべきことに、フルマラソンを走りきったとしても筋肉的なスタミナはまだ2〜3割しか使われていないと言われています。
「いやいやいや、そんなわけあるかい!」
そうツッコミたくなる気持ち、よく分かります。私も最初は信じられませんでした。

限界の正体は「脳疲労」
では、なぜ私たちは「もう走れない」と感じてしまうのでしょうか?
その答えは 脳の働き にあります。
筋肉や心肺機能が完全にゼロになっているわけではなく、脳が「もうやめろ」と信号を送っているのです。
脳は全身を常にモニタリングしています。
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筋肉や関節に炎症が出ていないか
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心拍数や脈拍が上がりすぎていないか
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水分や電解質が不足していないか
こうした情報をもとに「これ以上続けたら身体が壊れる」と判断すると、脳は「痛み」「しんどさ」という形でブレーキをかけてきます。
つまり、私たちが感じる限界の多くは 身体そのものの限界ではなく、脳がかける安全装置なのです。
火事場の馬鹿力が証明すること
考えてみてください。
フルマラソンを走り終えた直後、「もう無理!」と思っても、倒れ込んで二度と立ち上がれないわけではありません。しばらく休めば、歩いて電車に乗って帰ることができます。
もし本当に体力ゼロなら、その場から1歩も動けないはずです。
さらに極端な例を出すと、レース後に突然熊が現れたらどうでしょう?
誰だってもう一度全力で走り出しますよね。
これが「火事場の馬鹿力」です。
つまり体にはまだ余力が残っている証拠。動けなくなる原因は、やはり「脳のストップ信号」なのです。

脳の役割と複雑な判断基準
脳はコンピューターのように単純な計算をしているわけではありません。
炎症、心拍数、呼吸、体温、水分、血糖値…あらゆる情報を同時に処理し、総合的に判断しているのです。
例えば:
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炎症が強くなれば「痛み」を感じさせて行動を止める
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喉が渇いて水分不足になれば「だるさ」を感じさせる
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心拍数が上がりすぎれば「動悸や息切れ」でブレーキをかける
これはすべて「身体を守るためのセーフティ機能」なのです。
脳疲労が日常に与える影響
脳疲労はスポーツだけでなく、日常生活でも影響を及ぼします。
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「今日は調子が悪いな」と感じる日
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理由のないイライラや落ち着きのなさ
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仕事の集中力が続かない
こうした不調の多くも、実は「脳疲労」が原因だと考えられています。
あるランナーの事例
ここで有名な例を紹介します。
「バン・デレン」というウルトラマラソンランナーがいます。彼は3週間連続で走り続ける超人的なレースに出場する選手です。
彼はてんかんの治療のために脳の一部を切除しました。その後遺症で短期記憶障害などが残ったそうですが、驚くことに「走るのが嫌だ」と感じなくなったのです。
痛みは感じても、「もう無理だ」と脳がブレーキをかけにくくなってしまった。
その結果、極限の走りを続けられるようになったわけです。
これは「疲労感」がいかに脳に左右されているかを示す興味深い事例です。
脳を良い状態に保つことの重要性
スポーツで体を作ることが大切なのは当然ですが、実は 脳を良い状態に整えることも同じくらい重要です。
脳が過度に疲れていれば、いくら筋肉や心肺機能が整っていても力を発揮できません。
特に現代人はスマートフォンやパソコンで常に大量の情報を浴びています。本人は「別にストレスを感じていない」と思っていても、脳にとっては大きな負担です。
例えば「まばたき」ですら脳にとってはストレスになります。本人は気にしていなくても、脳は「刺激」として処理している。つまり「自覚していない脳ストレス」が私たちの体にブレーキをかけているのです。

試合前日にやってはいけないこと
だからこそ、試合や大会の前日は脳をなるべく休ませることが重要です。
特に避けたいのが「スマホを見ながらテレビを見る」という行為。
情報量が多すぎて、脳は過剰に働かされてしまいます。
試合前はスマホの使用を控え、静かな環境で脳を休めてあげましょう。
好きな音楽を聴いたり、軽くストレッチしてリラックスするのがおすすめです。

限界は体力じゃない!?脳疲労とスポーツパフォーマンスの真実
カフェインはスポーツの強い味方
試合やレースの直前、あなたはどんな準備をしていますか?
ストレッチ、補食、シューズの確認…。実はここに「カフェイン」を上手に取り入れることで、脳疲労を軽減し、パフォーマンスを引き出せることが研究で分かっています。
1. カフェインの効果
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脳のアデノシン受容体に働きかけ、「疲れ」を感じにくくする
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筋繊維の収縮を細胞レベルで高める作用がある
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神経系からの信号がより強く筋肉に伝わる
その結果、2時間程度は持久力が上がることが認められています。
2. 摂取のタイミング
理想は試合の30分〜1時間前。コーヒーやエナジードリンクよりも、錠剤やカフェイン入りサプリメントの方が効果は安定しやすいです。
3. 追いカフェインもあり
長時間のレース中に追加で摂取することで、疲労感をさらに和らげられます。「トイレが心配…」という方もいますが、実際に極限状態では汗として流れてしまうことが多く、意外と問題になりません。どうしても我慢できなければ…「汗でごまかせばいい」くらいの気持ちで(笑)
声援と笑顔の不思議な力
トップアスリートが口を揃えて「観客の声援が力になる」と言うのは気合や根性論ではありません。科学的に見ても、声援や笑顔には脳疲労を和らげる効果があります。
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声援 → セロトニンやドーパミンなど「快楽ホルモン」が分泌され、ポジティブな感情が脳を支配する
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笑顔 → 表情筋からのフィードバックで「楽しい」と錯覚し、疲労感を感じにくくなる
つまり、レース中に笑顔でいることは「作戦」なのです。しんどくても口角を上げるだけで脳は「まだ余裕あるな」と勘違いしてくれます。
マッサージと筋肉の柔軟性
「試合前のマッサージはダメ」と昔は言われていましたが、現在は筋電図などで調べてもパフォーマンス低下は確認されていません。むしろ筋肉の柔軟性が保たれている方が、脳が「安心」して力を出しやすいのです。
ただし注意点もあります。
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静的ストレッチ(長時間伸ばす)は直前に行うと筋出力が落ちる
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動的ストレッチやマッサージで血流を促す方が効果的
筋肉が柔らかければ炎症も起こりにくく、脳が「痛みブレーキ」をかけにくくなる。これはパフォーマンスを最大化するための大きなポイントです。
脳は鍛えられるのか?
ここで気になるのが「体を鍛えるように脳も鍛えられないのか?」という点です。実際に、一定のトレーニングで脳の「疲労耐性」を高めることができるとされています。
1. 単純作業トレーニング
実験では、パソコンに表示される矢印と同じキーをひたすら打つという地味な作業を毎日繰り返すことで、ランナーの「疲労感」が減少したという報告があります。脳の集中力を使う訓練が、忍耐力や痛みに対する耐性を強化するのです。
2. 座禅や瞑想
禅僧やアスリートが取り入れる「マインドフルネス瞑想」も、脳の過剰なストレス反応を鎮める効果が実証されています。呼吸に集中するだけで「脳のセーフティ装置」の反応が穏やかになり、限界を感じにくくなります。
3. 苦しい練習で鍛える
氷水に手を入れて耐える実験では、普段から厳しい練習をしているアスリートは一般人より長時間耐えられることがわかりました。これは「痛みに慣れる」だけでなく、脳が「まだ大丈夫」と判断する基準が変わっている証拠です。

運動と免疫力の関係
「体を鍛えれば健康になる」と思われがちですが、実は運動と免疫力の関係は複雑です。
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毎日10km以上走るような強度 → 免疫力はむしろ低下
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適度な運動(2〜3kmのジョギングなど) → 免疫力は上昇
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単発で強い運動をした翌週 → 免疫力は一時的にぐっと上がる
つまり、走れば走るほど健康になるわけではなく、適度さが大事なのです。マラソンランナーに風邪をひきやすい人が多いのはこのためです。
健康のために運動する人は「量より質」を意識し、無理のない範囲で続けるのが一番です。
結論:限界は「脳のまやかし」
もしあなたがフルマラソンで「もう無理、足が動かない」と感じたとしても、それは体力がゼロになったわけではありません。脳が安全装置を作動させているだけです。
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カフェインを活用すれば脳の疲労感は軽減できる
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笑顔や声援は脳にプラスの錯覚を与える
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マッサージや柔軟性で炎症を抑えれば脳ブレーキは作動しにくい
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脳はトレーニング次第で鍛えられる
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適度な運動は免疫力も高めてくれる
精神論に聞こえることも、科学で説明すれば納得できます。
「笑顔でいれば最後まで走れる」「気持ちで勝つ」といった言葉も、実は脳の仕組みに裏打ちされた真実なのです。
それは脳のまやかし。まだ体は動ける
その一歩が、試合や人生の結果を大きく変えるかもしれません。

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