「座ってると、お尻が痛くてたまらんのよ」90代女性のお悩み
こんにちは、山田です!
今回ご紹介するのは、お尻から脚にかけての痛みと、足先のピリピリした感じに悩んでおられた90代の女性です。
最初にお話を聞いた時、一番つらそうだったのがお尻の痛みでした。
「座ってるとな、だんだんお尻が痛うなって、もう座ってられへんねん」
と話してくださいました。
座布団を柔らかいものに変えてみたり、厚いものを敷いてみたり。
ご家族もいろいろ工夫してくださったそうです。
でも、どれを試してもあまり変わらない。
結局、
「もう横になっとく方が楽やわ」
となって、日中も横になって過ごす時間がだんだん増えていました。
これ、本人さんもしんどいんですよね。
痛いから横になる。
でもずっと寝ていたら、今度は身体を動かす機会そのものが減ってしまう。
「ほんまは起きてテレビ見たり、家族とゆっくり喋ったりしたいんやけどなぁ」
そんなお話もされていました。
さらに気になったのが、足先です。
毎日ではありませんが、ときどき、
「足の先がピリピリするねん」
という感覚がありました。
以前、整形外科では坐骨神経痛があると言われたことがあったそうです。
坐骨神経痛では、お尻から太もも、ふくらはぎ、足先にかけて痛みやしびれ、ピリピリした感覚などが出ることがあります。
特に長く座ることで症状が強くなる方もいます。
ただし「お尻が痛い」「足がピリピリする」というだけで、全部を坐骨神経痛と決めつけることはできません。
年齢や身体の状態、筋力、関節、血流なども含めて、一つずつ見ていく必要があります。
《関連情報》

出典:https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/sciatica/symptoms-causes/syc-20377435
足を見てびっくり。「これ、歩くの重たくないですか?」
そして脚の状態を確認した時、もう一つかなり気になったことがありました。
むくみです。
足から下腿にかけて、かなり強く浮腫が出ていました。
思わず、
「これ、歩く時に脚重たくないですか?」
と聞くと、
「そうやねん。前に足が出にくいねん」
と。
やっぱりご本人も、かなり重たさを感じておられました。
足がむくむと、見た目が腫れるだけではありません。
脚が重たい。
動かしにくい。
靴がきつく感じる。
歩くのがおっくうになる。
こういったことにつながる場合があります。
ただ、ここもすごく大切なんですが、高齢者の足のむくみを「運動不足ですね」で終わらせたらあきません。
長時間座っていることでもむくみは起こりますが、心臓、腎臓、血管、リンパなど、さまざまな原因で起こることがあります。
急に片脚だけ腫れた、強い痛みがある、息苦しい、胸が痛い。
そんな場合は、施術より先に医療機関での確認が必要です。
今回も「むくんでるから揉んどきましょう」ではなく、体調や既往歴などを確認しながら慎重に見ていきました。
90代ですからね。
若い方と同じように、
「はい!いっぱい歩きましょう!」
というわけにはいきません(笑)
その人が今できることを、無理のない範囲で探す。
ここを大事にしました。

出典:https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/edema/symptoms-causes/syc-20366493
整形外科にも通った。でも「また痛くなってきた」の繰り返しでした
この方は、以前から臀部から脚にかけての症状で整形外科へ通っておられました。
電気治療を受けたり、痛みが強い時には注射を受けたり。
注射をすると、一時的には少し楽になる。
でも時間が経つと、また痛くなってくる。
そのため月に1回程度、痛みが強くなると注射を受けに行くことが続いていました。
坐骨神経痛に対しては、症状や原因によって薬、運動療法、注射などが選択されることがあります。
注射によって一時的に痛みが軽減するケースもあります。
ですから、注射が良い悪いという話ではありません。
ただ、この方の場合は、
「注射したらちょっとマシ。でもまた痛くなる」
という状態が続いていました。
そして何より困っていたのが、通院そのものです。
90代になると、病院や治療院まで行くこと自体が大仕事になることがあります。
着替える。
靴を履く。
玄関を出る。
車に乗る。
待合室で待つ。
私たちなら何でもない動作でも、身体がつらい方にとっては一つ一つが負担です。
そこで今回は、ご自宅へ伺って施術する訪問での対応を行うことになりました。
《関連情報》

出典:https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/sciatica/diagnosis-treatment/drc-20377441
臀部への手技と鍼灸施術を続けて、少しずつ「座れる時間」が伸びてきました
訪問で施術を始めてからは、まず一番つらかった臀部の状態を確認しながら、手技療法と鍼灸施術を続けていきました。
最初の頃は、少し座っているだけでも、
「もうお尻痛いわ。横にならせて」
となる状態でした。
ですから、いきなり、
「いっぱい歩きましょう!」
「頑張って座る練習しましょう!」
なんてことはしていません。
90代の方ですから、私たちが一番気をつけないといけないのは、頑張らせすぎないことだと思っています。
その日の体調も違います。
よく眠れた日もあれば、なんとなく身体が重い日もあります。
「今日はどうですか?」
と毎回お話を聞きながら、その日の状態に合わせて臀部周囲の筋肉に手技を行い、鍼灸施術も取り入れていきました。
そして、施術を始めて2か月ほど経った頃です。
ご本人から、
「最近な、前より長いこと座ってられるねん」
と言っていただきました。
それまで月に1回程度行っていた痛み止めの注射にも行かなくなったそうです。
もちろん、これは「鍼灸をすれば注射が必要なくなる」という意味ではありません。
今回の患者さんでは、施術を続けていく中で、座っていられる時間が少しずつ伸び、ご本人が痛みの変化を感じられるようになったという経過です。
坐骨神経痛のようなお尻から脚にかけての症状は、原因や程度によって経過が大きく異なります。
だからこそ「この治療をしたら絶対こうなる」と決めつけず、その方の状態を見ながら進めることが大切です。
《関連情報》

出典:https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/sciatica/diagnosis-treatment/drc-20377441
一番の目標は「孫の結婚式で最後まで座っていたい」でした
実は施術を始めた頃、この方には一つ大きな心配事がありました。
お孫さんの結婚式です。
もちろん結婚式そのものは、ものすごく楽しみにされています。
でも同時に、
「私、最後まで座ってられるかなぁ」
と心配されていました。
普段でも長く座れず、途中で横にならないとつらい状態です。
結婚式となれば、挙式があって、披露宴があって、食事があって。
いつもの家とは違い、
「痛くなったからちょっと横になるわ」
とはなかなかいきませんよね。
だから私も、
「せっかくのお孫さんの結婚式やから、できるだけ楽に参加できるようにしましょうね!」
とお話ししていました。
そして結婚式が終わって、次に訪問した日。
私も気になっていたので、すぐ聞きました。
「結婚式どうでした?座ってられました?」
すると、すごくうれしそうな顔で、
「大丈夫やったで!ずっと座ってられたわ!」
と言ってくださいました。
いや~、これは私もうれしかったですね。
単純に「痛みが何点から何点になりました」という話とは、ちょっと違うんです。
この方にとって大事だったのは、大好きなお孫さんの大切な日に、痛みのことばかり考えず、その時間を一緒に過ごせたことだったと思います。
私たちが施術をする目的って、結局ここなんですよね。
痛い場所を触って終わりではなく、
家族と食事をする。
出かける。
好きなテレビを見る。
行きたい場所へ行く。
そういう普通の生活を、少しでも取り戻せるようにすること。
そこまで一緒に見ていきたいと思っています。

出典:https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/sciatica/symptoms-causes/syc-20377435
足先のピリピリとむくみも確認しながら、今も施術を続けています
もちろん、これですべての症状がなくなったわけではありません。
足先に出ていたピリピリした感覚は、以前より回数が減ってきたと話されていますが、まだ完全になくなってはいません。
下肢のむくみについても、少しずつマシになってきているとのことですが、引き続き慎重に状態を確認しています。
ここは特に大切です。
足のむくみ=お尻の筋肉が硬いからと単純に考えてはいけません。
むくみには、長時間同じ姿勢でいることだけでなく、血管や心臓、腎臓などさまざまな要因が関係することがあります。
急に片方の脚だけ強く腫れる、皮膚の色が変わる、強い痛みがある、息苦しさや胸の痛みがあるといった場合には、早めに医療機関へ相談することが必要です。
今回の方については、身体全体の状態を確認しながら、無理のない範囲で今後も施術を継続していく予定です。

出典:https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/edema/symptoms-causes/syc-20366493
「家に来てもらえるって知ってたら、もっと早く頼んでたのに」
そして、この方から言われて一番印象に残っている言葉があります。
「家まで来てやってもらえるんやったら、もっと早く知りたかったわ」
これを聞いて、私も改めて思いました。
訪問で鍼灸や施術を受けられることって、まだまだ知られていないんやなぁ、と。
若い方なら、
「ちょっと身体痛いから整骨院行ってくるわ」
で済むことでも、高齢になるとそう簡単ではありません。
歩くのがつらい。
家から出るだけでも大変。
家族に毎回送ってもらうのも申し訳ない。
そんな理由で、身体がつらくても我慢している方は結構いらっしゃると思います。
でも、通えないから施術を受けられない、とは限りません。
ご自宅で対応できる方法もあります。
実際この患者さんも、訪問だからこそ無理なく継続することができました。
施術が終わったあとに、わざわざ車へ乗って帰る必要もありません。
そのまま自宅でゆっくり休めます。
「病院や治療院まで行くのがもう大変やねん」
という方が周りにいらっしゃったら、ぜひ訪問という方法があることも教えてあげてください。
この方のように、
「もっと早く知ってたらよかった」
となる前に知ってもらえたら、私もうれしいです。
《関連情報》
私たちにとっては「家まで伺う」という選択肢の一つでも、外出が難しくなった方にとっては、それが施術を受けるための大きな一歩になることがあります。
これからも、無理に頑張らせるのではなく、その方の生活と目標に合わせて一緒に進めていきたいと思います。
そして次の目標も、また一緒に見つけていきましょうね(^^)
