強い猫背と首の痛みに悩んでいた70代女性
こんにちは、越田です!
今回ご紹介するのは、背中の丸まりと首の痛みに悩んでいた70代の女性です。
以前に股関節の手術を受けたことがあり、背骨の後弯もかなり強くなっていました。
後弯というのは、横から見たときに背中が後ろへ丸くなっている状態です。
いわゆる猫背に近い見た目ですが、姿勢の癖だけで起きている場合もあれば、骨や関節の変化が関係している場合もあります。
この方は70代になった現在も、仕事を続けておられました。
仕事の大部分が車の運転です。
運転中は、どうしても同じ姿勢が長く続きます。
背中が丸い状態でハンドルを握ると、顔を前へ向けるために首の後ろ側がずっと頑張らなければいけません。
「仕事が終わる頃には、首がめっちゃ痛くなるんです」
そう話されていました。
運転している間は前を見続けなければいけませんから、首を休ませるわけにもいかないッスよね。
姿勢を確認すると、背中の丸まりに加えて、肩が前へ入り、頭も身体より前へ出ていました。
本人としては前を向いているつもりでも、身体全体で見ると、首だけを反らせて視線を上げているような状態です。
これでは、頸部や肩まわりの筋肉へ負担が集中します。
強い後弯があると、背中のこわばりだけでなく、身体を動かしにくい、前を見にくい、運転がしにくいといった問題につながることがあります。
また、高齢者の背中の丸まりには、姿勢の癖だけではなく、骨粗しょう症や圧迫骨折などが関係している場合もあります。
急に背中が丸くなった、強い痛みが出た、短期間で身長が低くなったといった変化がある場合は、自己判断で運動を始める前に医療機関で確認することが大切です。
出典:https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/kyphosis/symptoms-causes/syc-20374205
背骨を無理に伸ばさず、胸郭と肩甲骨を少しずつ動かしました
この方の場合、「猫背だから胸を張って、背筋を伸ばしましょう」と強く姿勢を直す方法は選びませんでした。
長い間丸まった姿勢で過ごしている身体を、いきなりグッと反らせると、かえって首や腰へ負担がかかることがあるからです。
しかも、股関節の手術歴もあります。
股関節が動きにくい状態で、上半身だけを無理に起こそうとすると、別の場所でかばってしまうこともあります。
まずは、今どのくらい背骨が動くのかを確認しました。
背中を丸める。
少し起こす。
左右へゆっくりひねる。
一つひとつの動きを、痛みが出ない範囲で行ってもらいました。
最初は、「こんな少しの動きでええんですか?」と言われたんです。
でも、最初から大きく動かす必要はないッス。
動きにくくなった身体は、勢いで伸ばすより、「ここまでは安心して動ける」と身体に思い出してもらうところから始めます。
次に、前へ入っていた肩を少しずつ外へ開き、肩甲骨を動かす運動を行いました。
両肩を無理に後ろへ引っ張るのではなく、息を吐きながら肩の力を抜き、ゆっくり胸を開きます。
背中が丸くなると、胸郭も動きにくくなり、呼吸が浅くなりやすいんです。
そこで、運動中は呼吸も止めないように意識してもらいました。
鼻からゆっくり吸って、口から長く吐く。
息を吐くときに肩の力を抜く。
たったこれだけでも、胸や肩まわりの余計な力が抜けやすくなります。
大事なのは、写真のような完璧な姿勢を一気に作ることではありません。
その方の身体に合わせて、少しずつ動ける範囲を広げることです。
出典:https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/17671-kyphosis
2〜3か月で首の痛みはほぼ改善しましたが、そこで終わりではありません
施術では、首だけを集中的に触るのではなく、背骨、肩甲骨、胸郭、股関節の状態まで確認しました。
首が痛いからといって、首だけが悪いとは限りません。
背中が丸まり、胸郭と肩が前へ入れば、頭の位置も前へ移動します。
その頭を前へ落とさないように、首の後ろ側がずっと引っ張り続けるわけです。
そら、首もしんどくなりますよね。
背骨や肩甲骨まわりをゆっくり動かし、胸郭を開きやすくする施術と運動を続けました。
運転中の姿勢についても、無理に背筋を伸ばし続けるのではなく、シートへ身体を預け、休憩時に一度車から降りて身体を動かすようお伝えしました。
施術と運動を2〜3か月ほど続けると、最初に訴えていた強い首の痛みは、ほとんど気にならなくなりました。
「運転してても、前みたいに首が痛くならへんわ」
そう言っていただけるようになりました。
痛みが減ったことは、もちろん大きな変化です。
でも、ここで全部終わりとは考えませんでした。
その場で身体を起こすことはできても、姿勢を長く維持する筋力が、まだ十分ではなかったからです。
少し意識すると身体を起こせる。
でも、しばらくすると疲れて、また背中が丸くなる。
これ、めっちゃよくあることなんです。
姿勢は「気合い」で維持するものではありません。
背中や体幹、股関節まわりなどの筋肉が、無理なく身体を支えられることが必要です。
そこで、痛みが落ち着いたあとも、施術と運動を継続することになりました。
一回だけめっちゃ頑張るより、少ない運動でも長く続ける。
この方には、その方法が合っていました。
出典:https://www.hss.edu/health-library/conditions-and-treatments/list/kyphosis
痛みがなくなっても、姿勢を支える力はすぐには戻りません
首の痛みがほとんど気にならなくなったあとも、施術と運動はそのまま続けました。
痛みがなくなったら、もう終わりでええんちゃうの?と思いますよね。
でも、今回の方には、まだ一つ大きな課題が残っていました。
それが、起こした姿勢を維持する力です。
施術後や運動直後は、背中が少し起きて、肩も開きやすくなります。
ところが、その状態で長く座っていると、徐々に疲れてきて、また身体が前へ丸くなっていました。
これは、ご本人が姿勢を意識していないからではありません。
むしろ、めっちゃ真面目に意識してくださっていました。
ただ、姿勢を保つための背中や体幹の筋肉が疲れやすく、仕事中ずっと支え続けるだけの力が、まだ十分ではなかったんです。
そこで、姿勢を無理に固定するのではなく、疲れる前に一度力を抜くこともお伝えしました。
背筋を伸ばしたまま、ずっと我慢する。
これでは、別の筋肉が固まってしまいます。
少し身体を起こす。
しばらくしたら肩の力を抜く。
休憩時に胸を開く。
また仕事へ戻る。
そんなふうに、良い姿勢を完璧に固定するのではなく、身体をこまめに動かすことを意識してもらいました。
運動も、毎回たくさん行うわけではありません。
肩甲骨を動かす運動や、胸郭をゆっくり開く動き、呼吸を止めずに背骨を動かす練習を、無理のない範囲で続けました。
一回の施術で身体が変わることもあります。
でも、その変化を普段の生活で使える状態へ持っていくには、やっぱり時間が必要です。
姿勢の改善では、背中や体幹の筋肉を使いながら、関節の動きを保つことが大切です。
出典:https://www.hss.edu/health-library/conditions-and-treatments/list/kyphosis
1年後の健康診断で、身長が約2センチ高くなっていました
施術と運動を始めてから、約1年がたった頃です。
ご本人が健康診断を受ける機会があり、身長と体重を測ってもらいました。
その結果を聞いて、ご本人がめっちゃうれしそうに話してくださいました。
「身長が2センチくらい伸びてたんよ!」
今までは、健康診断のたびに少しずつ身長が低くなっていたそうです。
それが今回は、前年より約2センチ高く測定されていました。
もちろん、大人になって骨そのものが2センチ伸びたという意味ではありません。
姿勢が以前より起きやすくなり、測定時に身体を伸ばして立てたことなどが、身長の数値へ影響した可能性があります。
身長は、測る時間帯や姿勢、測定方法によって多少変化することもあります。
そのため、今回の一回の測定だけで、身体が必ず2センチ改善したと断定することはできません。
それでも、毎年低くなっていた数値が、今回は高くなっていた。
これは、ご本人にとってめっちゃ大きな喜びでした。
「今まで続けてきたこと、無駄じゃなかったんやな」と笑っておられました。
実際に姿勢を確認しても、最初の頃より身体を起こしやすくなり、肩も以前ほど前へ巻き込まれていませんでした。
運転中の首の痛みもほとんどなく、仕事を続けられています。
一日や一週間では分かりにくい変化でも、何か月、何年と続けることで、身体の使い方に差が出ることがあります。
今回の身長の変化は、その積み重ねを感じられる一つのきっかけになりました。
後弯では、姿勢や背骨の状態により見た目の身長が低くなることがあります。
一方で、急な身長低下や背中の痛みは、骨粗しょう症や圧迫骨折が関係する場合もあるため、気になる変化がある場合は医療機関で確認することが大切です。
出典:https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/kyphosis/symptoms-causes/syc-20374205
猫背や年齢を理由に諦めず、できることを一緒に続けましょう
猫背や背中の丸まりについて相談される方の中には、「もう年齢やから仕方ない」と言われる方が多くいます。
長年の姿勢ですし、すぐにまっすぐになるわけではありません。
骨や関節の変化が強い場合は、完全に元の姿勢へ戻すことが難しいこともあります。
でも、だからといって、何をしても変わらないわけではないんです。
今より少し胸が開きやすくなる。
前を見やすくなる。
首の痛みが減る。
呼吸がしやすくなる。
疲れて丸くなったあと、自分で身体を起こし直せる。
こうした変化も、生活の中ではめっちゃ大切です。
今回の方も、最初から順調だったわけではありません。
運動した日は少し疲れたり、仕事が忙しくてできない日があったりしました。
それでも、できる日に少しずつ続けてくださいました。
毎日完璧にやらなくても大丈夫です。
できなかった日があっても、また次の日から始めたらええんです。
一番もったいないのは、「もう遅いから」と最初から諦めてしまうことです。
ただし、背中を無理に反らしたり、動画で見た運動を急にたくさん始めたりするのはおすすめできません。
背骨や股関節の状態、骨粗しょう症の有無、過去の手術歴によって、合う運動は変わります。
今回の方も、股関節の手術歴があったため、身体の状態に合わせて少しずつ進めました。
猫背がきつくて首が痛い。
運転中に前を向くのがつらい。
姿勢を起こしても、すぐ疲れてしまう。
最近、身長が低くなってきた気がする。
そんな悩みがある方は、一人で無理に姿勢を直そうとせず、まずは身体の状態を確認させてください。
年齢や長年の猫背を理由に諦めず、できる運動と施術を一緒にコツコツ続けていきましょう。
出典:https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/17671-kyphosis





