レントゲンでも異常なし!?圧迫骨折の恐怖とは?

朝と寝返りで強くなる、右背中の痛み

こんにちは、越田です!

今回ご紹介するのは、2週間ほど前から背中の痛みが続いていた80歳の男性です。

5年ほど前に心疾患でカテーテル治療を受けたことがあり、認知症もあります。

ご本人に痛みについて聞くと、「朝が一番痛い」と話されていました。

午後になると比較的普通に動けるのですが、朝起きたときや寝返りをしたときに、背中へ強い痛みが走るとのことでした。

右側を下にして寝ると少しまし。

反対に、仰向けや左側を下にすると痛みが強くなり、身体を起こして座ると少し楽になる。

痛みの出方が、姿勢によってかなり変わっていたんです。

詳しく身体を確認すると、右の背部に限局した強い痛みがありました。

背中全体が重いというより、ある場所だけが特に痛い状態です。

「筋肉を痛めただけかな」と思ってしまいそうですよね。

でも、80代の方に突然出た背中の痛みです。

しかも、はっきりした原因が思い当たらず、寝返りや姿勢の変化で痛みが強くなる。

こういう場合は、筋肉や神経の問題だけでなく、背骨の骨折や内臓の病気なども含めて考えなければいけません。

脊椎圧迫骨折では、背中に突然強い痛みが出たり、立つ・歩く・身体を曲げる・ひねるといった動きが難しくなったりすることがあります。一方、軽い骨折では症状が目立たず、本人が骨折に気づかないこともあります。:contentReference[oaicite:0]{index=0}

出典:Cleveland Clinic「Compression Fractures」


内科もレントゲンも「問題なし」と聞いていたのですが……

認知症がある方の場合、ご本人だけへの問診では、痛みが始まった時期や受診内容を正確に確認できないことがあります。

そこで、娘さんにも詳しくお話を聞きました。

娘さんによると、痛みが出てから心配になり、すでに内科を受診されていたそうです。

過去に心疾患があったため心臓を調べてもらい、膵臓などの内臓についても確認してもらったものの、特に異常は見つからなかったとのことでした。

さらに、「レントゲンも撮って、骨も問題ないと言われました」と聞いていました。

そこまで聞くと、いったんは「大きな病気や骨折は除外されているのかな」と考えてしまうじゃないですか。

ただ、右背部の限られた場所に強い痛みがあり、寝返りで痛みが増える状態は続いていました。

慎重に身体の状態を確認しながら対応しましたが、施術後に少し楽そうにされ、よく眠られることもありました。

ここが、めっちゃ判断の難しいところでした。

施術後に落ち着いて見えたとしても、それだけで「筋肉の痛みだった」と判断することはできません。

一時的に姿勢が楽になったり、周囲の筋緊張がやわらいだりすれば、骨折があっても痛みの感じ方が変化する可能性があるからです。

急性の筋肉痛なのか。

肋間神経などによる神経症状なのか。

それとも、最初の検査では確認できていない別の原因があるのか。

症状の経過と、ご家族から聞いた検査内容がうまく一致しないことが、ずっと引っかかっていました。

圧迫骨折の診断では、痛みの場所や発症時期を詳しく聞き、背骨の圧痛や姿勢を確認したうえで、脊椎のX線、CT、MRIなどの画像検査が行われます。

出典:Johns Hopkins Medicine「Compression Fractures」


もう一度確認すると、背骨を十分に見ていなかったことが分かりました

その後も痛みの状態を確認しながら、娘さんへさらに詳しく質問しました。

「レントゲンは、背中を横からも撮りましたか?」

「どの部分の骨を確認したと説明されましたか?」

そうやって一つずつ聞いていくと、最初に聞いていた内容とは少し違うことが分かってきました。

撮影したレントゲンは前方からの画像だけだったらしく、背骨の圧迫骨折について十分に確認した検査ではなかった可能性がありました。

「骨は問題なかった」と聞いていたため安心していましたが、どこの骨を、どの方向から、何を疑って撮影したのかまでは確認できていなかったんです。

同じ「レントゲンを撮った」という言葉でも、検査した部位や撮影方向によって確認できる内容は変わります。

ここを曖昧にしたまま、「もう検査しているから大丈夫」と判断するのは危ないッス。

痛みの場所と経過を考えると、もう一度病院で背骨を詳しく調べてもらう必要があると考え、娘さんへ相談しました。

「一度検査してもらっていますが、この背中の痛み方が気になります。もう一度、背骨を含めて確認してもらいませんか」

そうお伝えし、再度病院を受診していただくことになりました。

圧迫骨折は、必ずしも転倒や大きな事故で起こるわけではありません。

骨が弱くなっている場合には、咳やくしゃみ、身体をひねる、立ち上がるといった日常の動作でも発生することがあります。

また、骨粗しょう症による圧迫骨折は、痛みが軽かったり、はっきりした外傷がなかったりして、画像検査で偶然見つかる場合もあります。

「何もしていないから、骨折ではない」

これは、高齢者の背中の痛みでは通用しないことがあるんです。

出典:Cleveland Clinic「Spinal Fractures」

再受診の結果、背骨の圧迫骨折が見つかりました

娘さんにもう一度病院へ連れて行っていただき、背骨を詳しく検査してもらいました。

その結果、右背部の強い痛みの原因は、背骨の圧迫骨折だったことが分かりました。

結果を聞いたときは、「やっぱり骨やったんか」と思う一方で、正直かなり考えさせられました。

最初に娘さんからは、「レントゲンも撮って、骨に問題はなかった」と聞いていました。

心臓や膵臓なども診てもらい、異常がなかった。

そこまで聞いたら、筋肉の急性痛や神経症状を考えてしまいますよね。

しかも施術後は、少し落ち着いてよく眠られていました。

でも、施術後に一時的に楽そうに見えたからといって、骨折がないとは判断できません。

骨折した部分の周囲では筋肉も強く緊張します。

姿勢が変わったり、周囲の緊張が少しやわらいだりすれば、痛みの感じ方が一時的に変わることもあります。

今回、ずっと引っかかっていたのは、痛みが右背部の限られた場所へ強く出ていたことです。

さらに、寝返りや仰向け、左側を下にした姿勢で痛みが強くなり、座ると少しましになる。

この痛み方と、「骨は問題ない」と聞いていた検査結果が、どうしてもきれいにつながりませんでした。

「検査しているから大丈夫」と安心するのではなく、どこの部位を、どの方向から、何を疑って調べたのかまで確認する必要があったんです。

圧迫骨折の診断では、身体の診察に加え、X線、MRI、CTなどが使われます。骨粗しょう症が疑われる場合には、骨密度検査が行われることもあります。

圧迫骨折が分かったため、その後は自己判断で背中へ施術を続けるのではなく、病院の指示を優先してもらいました。

原因が分からない痛みに対して、「とりあえず治療を続けよう」は危ないッス。

施術をすることと同じくらい、施術を中止して病院へつなぐ判断も大事なんだと、改めて実感しました。

出典:Johns Hopkins Medicine「Compression Fractures」


転んでいなくても起こる「いつのまにか骨折」

今回の男性は、転倒したわけでも、重たい物を持ったわけでもありませんでした。

「何かした覚えはない」とのことでした。

それでも、背骨は骨折していました。

圧迫骨折は、大きな事故や激しい転倒だけで起こるものではありません。

骨粗しょう症などによって背骨が弱くなっていると、日常生活の中の小さな負担でも、背骨がつぶれるように骨折することがあります。

Mayo Clinicでは、骨粗しょう症で弱くなった背骨は、転倒がなくても骨折することがあり、背中の痛み、身長の低下、前かがみの姿勢につながると説明しています。:contentReference[oaicite:1]{index=1}

こうした骨折は、はっきりしたきっかけがないまま起きることもあるため、日本では「いつのまにか骨折」と呼ばれることがあります。

本人としては、何もしていない。

転んだ記憶もない。

だから「骨折ではないやろ」と思ってしまうんです。

でも、高齢者の背中や腰の痛みでは、何もしていないことが骨折を否定する材料にはなりません。

特に今回のように、朝に痛みが強い、寝返りで痛い、姿勢によって痛みが変わる、ある一点が強く痛むといった場合は、慎重に確認する必要があります。

認知症がある方では、いつから痛いのか、どんな動作で痛むのかを、ご本人がうまく説明できないこともあります。

「痛い」と言っていた翌日には、「そんなこと言うたかな」となる場合もあります。

だからこそ、ご本人の言葉だけでなく、ご家族から普段の様子を聞くことがめっちゃ大事です。

以前より寝返りが少なくなった。

起き上がるまでに時間がかかる。

朝だけ顔をしかめている。

食卓に座ると少し楽そうにしている。

こうしたご家族の気づきが、原因を見つける大きな手がかりになることがあります。

背骨の圧迫骨折が確認された場合は、骨折の治療だけでなく、背景に骨粗しょう症がないかを調べることも重要です。骨密度はDXA・DEXAと呼ばれる検査などで評価されます。:contentReference[oaicite:2]{index=2}

出典:Mayo Clinic「Osteoporosis:Symptoms and causes」


問診は「聞いた」で終わらず、具体的に確認することが大切です

今回の経験で、改めて問診の大切さを感じました。

「病院へ行きましたか?」

「はい、行きました」

「レントゲンは撮りましたか?」

「はい、撮りました」

これだけでは、十分ではなかったんです。

どこを撮影したのか。

前からだけなのか、横からも撮影したのか。

何の病気を疑って検査したのか。

医師からは、どの部位について問題がないと説明されたのか。

そこまで聞かなければ、「骨は問題ない」という言葉の本当の意味は分かりません。

僕自身も最初は、急性の筋肉痛なのか、神経からくる痛みなのかと迷いました。

数回対応する中で一時的に楽そうな様子もあったため、なおさら判断が難しかったです。

でも、「なんかおかしい」という小さな違和感を、そのままにしないことが大切なんですよね。

痛みの場所と検査内容が合っていない。

高齢で、はっきりした原因のない背部痛が続いている。

寝返りや姿勢の変化で、強い痛みが出る。

こうした情報を一つずつ重ねたことで、もう一度受診してもらう判断につながりました。

今回、再受診をお願いして本当によかったです。

もし「一度レントゲンを撮っているから大丈夫」と思い込んでいたら、発見がさらに遅れていた可能性があります。

高齢者の急な背中や腰の痛みでは、骨折が隠れている場合があります。

いつもと違う強い痛みがある、寝返りや起き上がりで痛む、姿勢が急に前かがみになった、身長が低くなったように見えるといった変化があれば、自己判断で揉んだり運動したりする前に、医療機関で確認してください。

圧迫骨折では、治療後も新たな骨折を防ぐため、骨密度の確認や骨粗しょう症への対応が検討されます。治療方法は骨折の状態や原因によって異なり、安静、装具、薬物療法、理学療法などが選ばれることがあります。:contentReference[oaicite:3]{index=3}

整骨院や訪問施術は、何でもその場で治療する場所ではありません。

施術できる状態なのか。

先に病院で確認する必要があるのか。

そこを見極めて、必要なときに医療機関へつなぐことも、大事な役割だと思っています。

「年齢のせいやろ」「しばらく寝たら治るやろ」と我慢せず、いつもと違う痛みがあれば、まず相談してください。

小さな違和感が、大きな病気や骨折を見つけるきっかけになることもあるッス。

出典:Hospital for Special Surgery「Lower Back Pain」

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