リウマチで寝返りも涙が出るくらいの腰痛が改善!

■ 10年以上リウマチと戦い続けてきた日々

山田です!この患者様は十数年前にリウマチを発症されました。

発症当初はまだ軽度だったのですが、数年前から四肢(腕・脚)の変形が進み

手首や膝も硬くなってしまい、

「なんとか歩けるけど、姿勢が前かがみでツラい」とのお悩みでした。

それでも本当に頑張り屋さんで、

杖をつきながらでも家事をされていたそうです。

ただ、夜になると腰がズキズキ。

寝返りを打つたびに「イタタタ…」と目が覚めてしまう。

「寝不足で朝が一番つらい。夜が怖い…」とおっしゃっていました。

そして何よりも驚いたのが、

痛み止めを一日に何回も飲んでいたということ。

効いている間はまだマシでも、切れるとまた激痛。

いわば“薬でごまかしながら耐える生活”を何年も続けておられたのです。

リウマチについて


■ きっかけはたまたま見た「当院のチラシ」

そんな時に、たまたまポストに入っていた当院のチラシを見てくださったそうです。

「リウマチ・関節痛・神経痛もご相談ください」という一文に目が止まり、

娘さんと一緒に「ちょっと電話してみようか」と勇気を出して連絡をくださいました。

「整形外科も通ったし、薬も効かないし…でも、もう少し楽になれたら…」

そんなお気持ちで、週2回のペースで往診(訪問治療)をスタートしました。


■ 体の状態は想像以上にハード

初めて伺ったとき、

見た瞬間に「これはかなり大変そうだな」と感じました。

というのも、

体は全体的に前傾姿勢が強く、

腰のあたりは明らかに**側弯(そくわん)**が見られました。

立って歩くことは可能でしたが、腰をまっすぐにするのは難しい。

膝を軽く曲げたような姿勢で、いつも前に倒れるような歩き方。

「寝返りの時に腰がズキッと痛む」と言われていたので、

腰部に触れると確かに硬く、炎症反応もありそうでした。

ただ、この段階で私が判断したのは

「今は患部を直接触るべきではない」

ということでした。


■ 患部を“あえて触らない”という選択

これは意外かもしれませんが、

痛みが強いときにその部分を無理に刺激すると、

かえって筋肉が反発して防御反応を起こすことがあります。

そうすると、「治療をしたのに余計に痛くなった」という結果になることもあるんです。

この患者様の場合、

腰を触っただけで「うっ…!」と顔をしかめられるほどだったので、

まずは“周辺部”からのアプローチを選びました。


■ 腹部・臀部・体幹の連動に注目

まず、前傾姿勢の方の特徴として、

腹部の筋肉(腹直筋や腸腰筋など)が常に収縮していることが多いんです。

これは、まるで前から引っ張られているような状態。

腰が痛くても、実は前側(お腹側)が原因になっていることが結構あります。

そこで最初は腹部に超音波治療を施しました。

これで深層筋の緊張を少しずつ緩めていきます。

次に、臀部(お尻の筋肉)へ超音波と鍼灸施術を行いました。

お尻は“骨盤の要”です。

腰への負担を減らすには、臀部の筋肉をしっかり働かせてあげることが重要なんですね。

加えて、手技療法(筋膜リリース)で全体のバランスを整えていきました。

腹部と腰部の関係について


■ 最初の数回は「一瞬だけ楽になる」

治療を始めて最初の2〜3週間。

施術直後は「体が少し軽い」と言ってくださるのですが、

翌日にはまた痛みが戻ってしまう状態。

これは正直、私も「やっぱり時間がかかるな」と思いました。

ただ、回復の兆しはありました。

初回の頃は腰の痛みで表情がずっとこわばっていたのに、

3回目あたりからは笑顔が増えてきたんです。

「先生、昨日は2時間まとめて寝れたわ」

と嬉しそうに話してくださったのを、今でも覚えています。


■ 3ヶ月後の大きな変化

そして約3ヶ月後。

この時点で驚くほどの変化がありました。

あれほど毎日飲んでいた痛み止めの薬を、まったく飲まなくなったんです。

しかも、夜に悩まされていた寝返りの痛みが“9割消失”!

「たまにピキッとくるけど、もう我慢できるレベル」とのこと。

朝もスッと起き上がれるようになり、

「この歳で薬なしで寝れるなんて夢みたい」と本当に嬉しそうに笑ってくださいました。

リウマチへのマッサージ効果について


ここまでで、まず一つの大きな山を越えた感じです。

でも、この患者様の話はここで終わりません。


3ヶ月経った頃、私自身がその変化を一番実感していました。

最初のころは、体を少し動かすだけでも「イタタタ…」と小さく声を漏らしていた患者様が、

今では「山田先生、今日は調子ええで」と、にこっと笑って出迎えてくれる。

その笑顔の柔らかさを見た瞬間、「あ、この方、もう大丈夫やな」と確信しました。

やっぱり、治療の成功って、患者さんの顔色と声のトーンで分かるんですよね。


■ 「痛み止めを飲まない日常」への復帰

以前は、一日に何度も痛み止めを飲まなければ動けなかったのに、

今では薬を飲むのをすっかり忘れてしまうくらい調子がいい。

「この3ヶ月で痛み止めを飲まん日がこんなに続くなんて、10年ぶりやわ」

その言葉を聞いて、心から嬉しくなりました。

たぶん、誰よりも患者様ご自身が一番びっくりされていたと思います。


■ 痛みの“中心”を追いかけすぎない

このケースで改めて学んだのは、

痛い場所が原因とは限らない」ということです。

腰の痛みを訴えておられましたが、実際に原因は「腰」そのものではなく、

その周囲――つまり腹部や臀部、そして骨盤のバランスにありました。

前傾姿勢になると、重心が前に移動し、体を支えるために腹部の筋肉が過緊張を起こします。

一方で、腰や背中の筋肉はその反作用で引き伸ばされ、絶えず張りっぱなしになる。

この“引っ張り合いの関係”が、長年の痛みの温床になっていたのです。

つまり、腰が悪いから腰を触る、ではなく、

「腰にそうさせている別の要因」を探すことが大事なんです。


■ “患部を触らない勇気”が結果を変えた

これは臨床の世界では、意外と勇気がいる判断です。

患者さんからすれば「腰が痛いのに、なんで腰を治療しないの?」と思うでしょう。

でも、あの時もし私が腰を直接揉んでいたら、たぶん悪化していたと思います。

リウマチによる関節の変形がある場合、

直接刺激を加えると炎症反応が強く出やすく、

防御収縮(筋肉がギュッと硬直してしまう反応)を誘発します。

だからこそ、「腹部の緊張を抜く → 骨盤の可動域を出す → 腰の負担を軽くする」

という間接的なアプローチが効果的だったんです。

患者様も途中から「先生、腰触らんのに腰が軽くなるの不思議やねぇ」って笑ってました(笑)


■ お腹へのアプローチは“第二の腰治療”

腹部というとピンとこない方も多いですが、

ここは実は“第二の腰”とも言える重要な部位です。

腹部の筋肉(特に腸腰筋や腹直筋)は、骨盤と腰椎を前方で支えている筋肉です。

ここがガチガチに硬くなると、腰が後ろに引っ張られてしまう。

つまり、お腹をほぐすことが“腰を支える土台”を整えることになるんです。

加えて、お腹には内臓があります。

鍼やお灸を行うことで、副交感神経が優位になり、

リラックス効果や血流改善も期待できます。

「お腹があったかくなって、夜よく寝られるようになったわ」

と、患者様が最初に感じたのも、実はこの変化のサインなんです。


■ 治療だけじゃない、“希望”のスイッチ

施術を重ねる中で、私はいつもこう思っていました。

「この方は“治りたい”という気持ちが本当に強い」

それが何よりの回復力だったと思います。

最初は弱々しかった声も、今でははっきり大きくなり、

「今朝も5時に起きて、お湯沸かしてたんや〜」と笑顔。

寝返りも楽になったので、睡眠の質も格段に上がっています。

実は、「寝れるようになった」って、体の回復において最強のサインなんですよ。

睡眠は自然治癒力を引き出す最大の回復時間です。

どんな高価な薬や最新の機械よりも、

「しっかり眠れる体」を作ることが、いちばんの治療なんです。


■ “寝返りができる”という奇跡

本人にとって一番うれしかったのは、

「寝返りしても痛くないこと」でした。

たったそれだけのことですが、

この方にとっては数年ぶりの“自由な夜”でした。

「夜中に何回も目が覚めてたけど、今は気づいたら朝やねん」

そう話されるときの顔が本当に穏やかで、

もうそれだけでこちらまで泣きそうになります。

寝返りって、当たり前の動作に思えるけど、

痛みがある人にとっては“恐怖の動き”なんです。

「寝返りができる=自分の体を信じられるようになる」こと。

つまり、体だけでなく心まで元気になった瞬間だったんです。


■ 鍼灸が果たす「回復の伴走者」としての役割

鍼灸というと、「痛い」「怖い」と思われる方もいますが、

本来はとてもやさしい治療法です。

この方のように、高齢でリウマチをお持ちの方には、

鍼の深さや刺激量を丁寧に調整する必要があります。

浅めの鍼で血流を促進し、超音波と併用して筋緊張を緩める。

そうすることで、副作用もなく、安全に体を整えることができます。

そして何よりも――

「薬に頼らず、自分の体が変わっていく」という実感を持てる。

これは本当に大きい。

特に長年痛みに悩まされてきた方ほど、

“自分の力で良くなっていく”という感覚が、心の支えになるんです。


■ 痛みが消えた“その先”へ

最近では杖を使わなくても短距離ならスッと歩けるようになり、

ご家族の方も「母が若返ったみたい」と喜ばれています。

患者様ご本人も、

「これで孫の結婚式、ちゃんと歩いて行けるわ〜」と嬉しそうに話してくれました。

いやもう、それを聞いた瞬間、

“治療家冥利に尽きる”とはこのことやなと思いました。


■ 最後に

この症例で私が改めて感じたのは、

「患部を攻めるな、体全体を見ろ」ということです。

腰が痛くても、膝が悪くても、

原因はもっと別の場所にあることが多い。

人の体って、パズルのように全部つながっています。

一つのピースが噛み合えば、他も自然と整ってくる。

そして、その“整う瞬間”に立ち会えるのが、私たち施術家の醍醐味です。


3ヶ月前までは痛み止めが手放せず、夜も眠れなかった80代の女性が、

今では薬なしでぐっすり眠り、笑顔で「ありがとう」と言ってくださる。

その姿を見て、改めて思いました。

「人の体は何歳になっても、ちゃんと回復する力を持っている。」

本当に、治療って深いですね。

そして、あの日「チラシを見て電話したんです」と勇気を出してくれた患者様に、

私も大きな学びをもらった山田でした ^^) 

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