「踊りたい!」をもう一度叶えた78歳の男性 ─ 足首の痛みと向き合った半年間の物語
こんにちは!
リード鍼灸整骨院の井手です(^^)
今回は、僕がこれまで担当した患者様の中でも特に印象に残っている、
「社交ダンスを心から愛する78歳の男性」のお話をさせていただきます。
その方の目標はたったひとつ。
『もう一度、思いっきり踊りたい!』
その一心で、痛みと向き合い続けた半年間の物語です。
◆ 痛みのはじまり ─ きっかけのない「左足首の痛み」
患者様は78歳の男性。長年、電気工事士として現場で働いてこられた方でした。
いわゆる“職人さんの体”で、手も足もごつごつ、まさに現場のベテラン。
しかし2023年の5月頃、突然左足首に違和感を感じ始めたそうです。
「特に転んだわけでも、ぶつけたわけでもないんやけどなぁ……」
と首をかしげながら話しておられました。
最初は少し痛い程度で、「まあそのうち治るやろ」と思っていたそうですが、
日が経つにつれて痛みが増していき、ある日、
社交ダンスのステップで踏み込んだ瞬間──
ズキンッ!と鋭い痛みが走りました。
その日を境に、踊るたびに左足首の痛みを感じるようになったのです。

◆ 病院での診断と治療 ─ しかし改善せず
病院で診てもらったところ、
レントゲンでは骨に異常はなく「加齢による関節炎でしょう」とのこと。
注射を打ち、塗り薬と湿布を処方されました。
それでも一向に良くならない。
6ヶ月経っても、痛みはむしろ強くなっていました。
「もう歳やし、こんなもんなんかなぁ……」
そんな諦めの言葉を口にしながらも、
本当は“もう一度ステップを踏みたい”という気持ちを胸の奥に秘めておられました。
そんな時、当院のチラシを見て来院されたのです。
◆ 初診時の印象 ─ 足首だけじゃない、股関節にも硬さが…
初めてお会いしたときの印象は、
「この方、本当に体を大切にされてきたんだな」というものでした。
筋肉量も十分あり、背筋もピンと伸びていて78歳には見えません。
ただ、左足首の可動域が明らかに狭く、
動かすとすぐに痛みが出てしまう状態。
さらに検査を進めると──
股関節の動きも悪く、足全体が硬い!
「先生、足首が痛いんやけど股関節も関係あるの?」
「はい。実はかなり大きく関係しています!」
足首だけを治療しても、股関節や骨盤の動きが悪ければ、
痛みの原因は取り切れません。
それどころか、再発するリスクも高くなります。
患者様には、
「足首の痛みを取るために、股関節の治療も一緒にしていきましょう」
と説明しました。
◆ 初回治療 ─ 痛みの“通り道”を開ける
治療の最初の目的は、
足首の負担を減らすこと。
具体的には次の3ステップで行いました。
1️⃣ 股関節の動きを出す手技療法
→ 特に内旋・外旋の可動を確保。
これにより、歩く際の力の逃げ道を作る。
2️⃣ 足首周囲の筋緊張をゆるめる鍼灸施術
→ 足首の外側・内側の両方に鍼を打ち、
微弱電流を流して血流を促進。
3️⃣ 超音波+低周波で深層筋をアプローチ
→ 表面の筋肉だけでなく、関節の奥の炎症部分をケア。
治療中、患者様は
「おお…そこ効くなぁ…!」と何度も声を上げていました。
そして施術後、ゆっくり立ち上がってもらうと──
今まで痛みでためらっていた“踏み込み”動作で、
驚くほどスムーズに足が前に出たんです。
「あれ?さっきまでより全然痛くない!」
笑顔でそう言われた瞬間、こちらまで嬉しくなりました。
◆ ダンス再開への第一歩
施術後、患者様は鏡の前で足を動かしながら
ステップの確認をしていました。
「これなら踊れそうやなぁ…!」
まだ完全ではありませんでしたが、
痛みがほぼ消えたことにご本人もびっくり。
「次のレッスンが楽しみです!」と
久しぶりに心からの笑顔を見せてくださいました。

◆ 治療2回目以降 ─ 改善の兆しと“足首の再教育”
その後も週1ペースで来院していただき、
足首と股関節の連動性を整える治療を続けました。
2回目の施術時、すでに初回ほどの痛みはなく、
「夜も痛くなくて寝やすくなった」とのこと。
3回目では「階段の上り下りが楽になった」
そして4回目には「痛みを気にせずにステップを踏めた」と報告をいただきました。
こうした順調な経過の裏で行ったのは、
**“足首の再教育”**です。
長年の生活の中で、
人の身体は「使いやすい筋肉」ばかりを使ってしまい、
本来動くべき筋肉がサボってしまうことがあります。
そこで、
「動いていない筋肉を呼び起こす」ためのトレーニングを、
少しずつ導入していきました。
◆ 先生から患者様へ ― “頑張りすぎない勇気”
患者様はとても真面目な性格で、
教えた運動を家で何度も練習されていました。
しかしその努力が行きすぎることもあり、
一度「踊りすぎて痛みが戻った」ことも。
その時はすぐに施術で改善しましたが、
僕は改めてお伝えしました。
「高橋さん、頑張るのは素晴らしいですが、
“頑張りすぎない勇気”も大事ですよ(^^)」
この言葉に患者様は笑って、
「先生、それ難しいなぁ(笑)」と。
治療って、技術だけじゃなくて“信頼関係”も大切なんですよね。
患者様との距離が近くなっていくたびに、
「一緒に治していく」感覚が強くなっていきました。
「踊りたい!」をもう一度叶えた78歳の男性 ─ 足首の痛みと向き合った半年間の物語(後半)
前回の治療から数週間後、
「先生、見てください!」と嬉しそうに入ってこられた高橋さん(仮名)。
その足取りは、あの初診の頃とはまるで別人。
杖も使わず、軽やかにステップを踏むように歩いてこられました。
「こないだのダンス教室、痛みなしで最後まで踊れたんですよ!」
その笑顔には、半年間の我慢と努力が詰まっていました。
◆ ダンス再開 ─ まるで青春が戻ったように
治療を始めて2か月ほど経ったころ、
高橋さんはついに“社交ダンス復帰”を果たします。
最初のレッスンではまだ少し不安が残っていたそうですが、
ステップを踏むたびに足の感覚が戻っていき、
踊り終えたあとには「痛くない!」という実感があったと話してくださいました。
「先生、まるで若返ったみたいですよ(笑)」
社交ダンスをしているときの彼は本当に生き生きとしていて、
その姿を見ていると、こちらまで嬉しくなるほどでした。
◆ 体が変わると、心も変わる
足の痛みが取れると、人は不思議と表情も明るくなります。
治療のたびに交わす会話も、以前よりずっと軽やかになっていきました。
「家内にも言われましたよ。『最近、顔色が良くなったね』って」
痛みがあると、無意識のうちに眉間にしわが寄り、姿勢も縮こまってしまいます。
でも、それが取れるだけで呼吸が深くなり、笑顔が増える。
これが治療の“副作用”として最高の部分なんです。
◆ 家でも続けられる運動を
高橋さんはもともと身体を動かすのが好きな方。
「先生、家でできること、もっと教えて!」とよく聞かれました。
最初は一つだけお伝えしました。
足首の可動域を維持するためのチューブ運動です。
負担が少なく、続けやすいものを選びました。
それを毎朝の日課にされて、
「これ、調子いいですね!」と次の週には報告。
それならばと、二つ目、三つ目と運動を追加していき、
最終的には5種類のエクササイズを毎日30分。
「朝の運動をすると、体が軽くなる。
それに、何より一日が気持ちよく始まるんですよ」
この言葉を聞いたとき、僕は心の中で拍手しました。
“治療”を超えて“自立”へ向かっている瞬間だったからです。
◆ 変化を感じたのは痛みだけじゃない
治療を続けて3ヶ月を過ぎたあたりから、
高橋さんの体全体に変化が現れてきました。
以前より姿勢が良くなり、歩幅が広がり、
ダンスの際も動きに“しなやかさ”が出てきたのです。
「足首のことばかり気にしてたけど、
実は全身のバランスが悪かったんですね」
そう、その通りなんです。
痛みは「結果」であって「原因」ではないことが多い。
痛みの本当の原因は、体のバランスの崩れや、使い方のクセにあります。
◆ 治療者としての気づき
この症例を通して僕自身も改めて感じたのは、
“治す”というより“戻していく”ことの大切さ。
筋肉の柔軟性、関節の動き、体の重心、
それらを正しい状態に戻していくと、
身体は自分で回復する力を持っているんです。
医療の世界では「治してもらう」という意識の方が多いですが、
僕は「治るお手伝いをする」ことが本質だと思っています。
◆ 半年後の奇跡 ─ ダンススタジオでの涙
そして半年後。
高橋さんは娘さんからのリクエストで、
地元のダンス発表会に出演されました。
「先生、見に来てくださいよ!」
と招待してくださったその日の舞台。
流れる曲は、ゆったりとしたワルツ。
パートナーと優雅にステップを踏む高橋さんの姿は、
痛みに苦しんでいた頃の面影がまるでありません。
曲が終わると同時に、拍手が鳴り響きました。
そして高橋さんが僕の方を見て、
軽く会釈しながらニコッと笑ってくれたんです。
その瞬間、胸が熱くなりました。
“治療ってこういうことだよな”って。
◆ 再発予防と今後のケア
現在は月に1回のメンテナンス通院を継続中。
足首の状態は良好で、痛みも再発していません。
治療内容は、
-
超音波で深部の血流をサポート
-
鍼灸で足首〜股関節の連動を維持
-
手技で筋膜リリース+軽い関節調整
を中心に、コンディショニングを整えています。
また、ご自宅では引き続きチューブ運動とストレッチを実施。
「もうこれが朝の習慣になりました」と笑って話してくださいます。
◆ 「動ける」ことが最高の喜び
痛みが取れると、人は動きたくなります。
動けるようになると、気持ちが前向きになります。
そして、その笑顔がまわりの人も幸せにします。
僕たち治療家にとって、それが何よりのご褒美です。
「先生、まだまだ踊りますよ。次はタンゴに挑戦です!」
そう言って帰っていく高橋さんの背中は、
年齢を感じさせないほどまっすぐで、力強かったです。
◆ 最後に
今回の症例は、「諦めない気持ち」と「継続する力」がどれほど大きな成果を生むかを教えてくれました。
どんなに小さな変化でも、それを積み重ねれば確実に前へ進める。
僕たちはその“きっかけ”を作るのが仕事です。
もし今、痛みで趣味や夢を我慢している方がいたら、
諦める前に、ぜひ一度ご相談ください。
あなたの「また○○したい!」という想いを、
僕たちは全力でサポートします。
🩵
「人生100年時代」──
いくつになっても、やりたいことを思いっきり楽しむ身体を。
それが、僕たちリード鍼灸整骨院の願いです。
ダンスで痛みがある方は井手までご連絡ください!!
下腿部の治療についてはこちら


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