頭痛の正体に迫る!専門家として伝えたい一次頭痛三兄弟(前半)
こんにちは、鍼灸師の岡本です
今日は私自身が長年悩まされてきた「頭痛」について、専門家としての知識と、患者さんを日々診てきた経験、そして自分自身の体験を踏まえてお話ししたいと思います。
「頭痛って片頭痛のことでしょ?」
患者さんからもよくそう言われます。ですが実際はそんなに単純なものではありません。
頭痛にはいくつもの種類があり、それぞれ原因も症状も、そして対処法もまったく異なります。
私自身、片頭痛持ちです。発作が出たときの絶望感といったら言葉にできません。光も音も邪魔に感じて、吐き気でベッドから出られず、予定はすべてキャンセル…。ロキソプロフェンを神のように拝みながら過ごしていました。
でも同時に「薬に頼るだけでは根本解決にはならない」と痛感しました。そこで私は専門家として、頭痛の仕組みや改善法を徹底的に学び、日々の臨床の中で実践してきました。今日はその知見をシェアしていきます。
頭痛の大きな分類:一次頭痛と二次頭痛
まず頭痛を語る上で知っておくべきは、一次頭痛と二次頭痛の分類です。
-
一次頭痛:命に関わらない良性の頭痛
-
二次頭痛:脳や体の病気が原因で起こる悪性の頭痛
一次頭痛の代表格が「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」で、いわば“頭痛三兄弟”です。

一方で二次頭痛は、くも膜下出血や脳腫瘍、髄膜炎など重大な病気が原因になる場合があります。
特に注意すべきは「人生で一番強い頭痛」に襲われたとき。突然殴られたような痛みが走ったら迷わず救急車。これは専門家の私が断言します。
私が最もよく出会う「緊張型頭痛」
治療院に来られる患者さんの頭痛の大半は、この緊張型頭痛です。

原因は筋肉の緊張
ストレス、長時間の同じ姿勢、スマホやパソコン、妊娠中や産後の体の負担…。
これらによって首や肩の筋肉が硬直し、血流が悪化することで頭痛が生じます。
私の患者さんで最も多いのはデスクワーカー。中には「毎日6時間以上スマホを見ていて肩こりが取れない」という方もいました。こういう場合、肩から首にかけてパンパンに張っており、頭全体がギューッと締め付けられるような痛みを訴えます。
特徴
-
頭部全体に締め付けられるような痛み
-
マッサージや温熱で改善しやすい
-
姿勢変化や軽い運動では悪化しない
-
吐き気や視覚障害は伴わない
軽症のことが多いですが、慢性化すると生活の質(QOL)が大きく下がります。
実体験
私自身もデスクワークが続いたときにこの頭痛を経験しました。夕方になると首から後頭部にかけて重だるく、仕事の集中力が激減。「今日はもう患者さんを診るのがしんどい…」と思ったこともあります。
しかし、このタイプは原因を取り除けば改善も早い。マッサージ、鍼灸、温熱療法で大幅に改善します。
片頭痛 ― 私自身が苦しんできた頭痛
次に片頭痛。これが私自身の“持病”であり、何度も私を地獄に突き落としてきました。

男女比
統計的には女性に圧倒的に多く、男女比は1:4。女性ホルモンの影響が関与していると考えられています。
発症メカニズム
昔は「血管が拡張するから頭が痛む」と説明されていました。
しかし近年の研究では、脳幹や間脳に「片頭痛発生装置」が存在し、神経伝達物質の異常が発作を引き起こすと考えられています。
つまり片頭痛は「中枢神経疾患に近いもの」ともいえるのです。
特徴
-
頭の片側にズキズキと脈打つ痛み(両側に出る人もいる)
-
光や音に過敏になる
-
前兆として視界がチカチカする(閃輝暗点)
-
発作中は日常動作で悪化し、寝込むほど強い痛み
-
吐き気や嘔吐を伴うことも多い
私の実体験
発作が出るともう何もできません。ベッドに倒れ込み、部屋を真っ暗にしてカーテンを閉め、ただロキソプロフェンを飲んでひたすら耐える。仕事の予定も全てキャンセル。社会生活が破綻する感覚に襲われます。
だからこそ患者さんが「片頭痛でつらい」と来院されると、本当に共感できるのです。
ただし、ここに大きな注意点があります。
片頭痛にマッサージや鍼を行うと逆に悪化する場合があるということです。
緊張型頭痛ならほぼ改善するマッサージも、片頭痛の患者さんには禁忌になるケースがある。だから正しい見極めが絶対に必要なのです。
前半まとめ
ここまで、私の実体験と臨床経験を交えて「緊張型頭痛」と「片頭痛」について解説しました。
-
頭痛には一次頭痛(三兄弟)と二次頭痛がある
-
二次頭痛は命に関わることがあるため即病院へ
-
緊張型頭痛は最も多く、筋肉の緊張が原因 → 改善も早い
-
片頭痛は女性に多く、完治は難しい → 専門的な知識と慎重な対処が必要
頭痛の正体に迫る!専門家として伝えたい一次頭痛三兄弟(後半)
片頭痛の予防と対処法 ― 私が実践してきたこと
片頭痛は緊張型頭痛と違って「完治」が難しいとされています。しかし、生活習慣やセルフケアで発作の頻度や強さを減らすことは可能です。私自身も数え切れないほど発作に苦しみ、そのたびに「なんとかならないものか」と模索してきました。ここでは、私や患者さんが実際に効果を感じた予防法をお伝えします。
食べ物と片頭痛
赤ワイン、チョコレート、チーズ、ナッツ、ハム…。片頭痛持ちの方なら一度は「これはNG食品」と耳にしたことがあると思います。確かに血管拡張作用やチラミンなどの成分が発作を誘発すると言われています。
しかし、実際には人によって差が大きいのです。患者さんの中には「赤ワインで必ず発作が出る」という人もいれば、「全然平気」という人もいます。私の場合はチョコレートを食べても大丈夫ですが、赤ワインを飲むと数時間後にズキズキ来る確率が高いです。
結論はシンプルです。
自分にとってのトリガー食品を見極めることが大事。
睡眠と片頭痛
睡眠不足が発作を誘発することはよく知られています。ただし「寝すぎ」でも片頭痛が出ることがあります。休日に10時間以上寝た後に頭痛で目覚めた経験、私もあります。
規則正しい生活リズムが何よりの予防。可能であれば「毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる」。患者さんに指導する際も一番強調するポイントです。
環境と片頭痛
気圧や天候の変化でも頭痛は誘発されます。台風や雨の日に頭痛が出やすい方、多いですよね。私自身もそうです。こうした場合は「低気圧予報アプリ」で事前に察知し、あらかじめ無理をしない計画を立てるようにしています。
発作が起きてしまったら
予防しても完全に防げないのが片頭痛の厄介なところ。発作が出た時、私が実践してきた対処法を挙げます。
-
暗く静かな部屋で休む
光と音に敏感になるので、部屋を暗くし、カーテンを閉めて横になります。 -
こめかみを冷やす
冷却ジェルや保冷剤でこめかみを冷やすと血管が収縮し、痛みが和らぎます。 -
カフェインの摂取
コーヒーや緑茶など。適度なカフェインは血管を収縮させ、片頭痛を軽減する効果があります。私も発作の初期にはあえてコーヒーを飲みます。 -
薬は「早めに」
発作がピークになってからでは効き目が弱い。鎮痛薬やトリプタン系薬剤は「来そうだ」と思ったらすぐ飲むのが鉄則です。
群発頭痛 ― 男性に多い「地獄の頭痛」
さて、最後に紹介するのが群発頭痛。これは患者さんに説明すると皆さん驚かれます。
特徴と発作の様子
-
発症すると片目の奥をえぐられるような激痛
-
涙や鼻水が勝手に出て、目は真っ赤に充血
-
あまりの痛みに「壁に頭を打ち付ける」という患者さんもいる
まさに「地獄の頭痛」。発作は15分〜3時間続き、それが毎日、数週間〜数か月にわたって繰り返されます。そしてある日ピタッと収まる。しばらく平穏に過ごせるかと思えば、また数年後に再発する…。
有病率と男女比
有病率は非常に低く、1000人に1人程度。20〜40代の男性に多く、男女比は3:1。

発症メカニズム
はっきりとした原因は分かっていませんが、視床下部の異常や内頚動脈の炎症・拡張が関与すると考えられています。
誘発要因
発症期にアルコールを摂取すると、ほぼ100%発作が出ます。喫煙や気圧変化もトリガーとなります。そのため患者さんには「発症期は禁酒・禁煙を徹底してください」と必ず伝えます。

治療と対処法
-
トリプタン系薬剤(注射)
-
純酸素吸入
この2つが主な治療法です。残念ながら根本的に防ぐ方法はなく、発症期にいかに症状を抑えるかが課題となります。
臨床での実体験
私の治療院にも「片頭痛で…」と来院された患者さんが実は緊張型頭痛だった、というケースは非常に多いです。首肩を丁寧にマッサージし、姿勢指導をすると「あれ?痛みがなくなった」という反応をいただけます。
一方で、本物の片頭痛の方には注意が必要です。マッサージで血流を促すことで逆に症状が悪化することがあるからです。そのため、私は必ず問診で「光や音に敏感になりますか?」「ズキズキ拍動性ですか?」と確認し、施術方針を決めます。
群発頭痛に関しては、整骨院の領域を超えるため専門医に紹介することが多いですが、「禁酒・禁煙・生活管理」の助言は必ず行っています。

後半まとめ
-
片頭痛の予防には 規則正しい生活・トリガーの見極め・睡眠管理 が重要
-
発作時は 暗室・冷却・カフェイン・早めの薬 が有効
-
群発頭痛は稀だが男性に多く、発症期は禁酒禁煙が絶対条件
-
臨床では「片頭痛と思い込んでいる緊張型頭痛」が非常に多い
-
自分の頭痛のタイプを知り、正しい対処をすることが生活の質を守るカギ


この記事へのコメントはありません。